デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

スチュアート・ゴードン、円熟の境地。 THE CLASH ザ・クラッシュ

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It's got his bloodeverywhere, look what happened to O.J.
 (そこいら中、奴の血がべっとりだ。O.J.も逮捕の決め手は血痕だっただろ)
 
Yeah, but didn't O.J.go free?
(そうね。でも釈放されたでしょ)
 
That's not the point!
(そーゆー事言ってんじゃねー!)
 
正攻法なサスペンス・スリラーでありながら、要所要所に軽いギャグを挟んでくる。ある意味、円熟の境地と言えるかもしれません。
 
2007年/スチュアート・ゴードン監督)
 
ブランディ(ミーナ・スヴァーリ)は看護師。痴呆老人のダダ漏れ糞の始末も笑顔でこなす白衣の天使。その勤勉さが実って昇進候補に。
 
やった! 今夜はパーっと行こう! 酒と男とドラッグよ!
 
トーマス(スティーヴン・レイ)は失業者。家賃滞納が祟って家無し金無し仕事なし。

 

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公園デビューも果たせず、浮浪者に貰ったカートを押して数ブロック離れた教会へ。遠い。そして寒い。
 
「クソ、こんな事なら留置所にぶち込まれた方がマシだった」
 
トボトボと道を渡るトーマスにラリリ+携帯という心も体も脇見運転なブランディの車が一直線。
 
哀れトーマス。頭から景気よくフロントグラスに突き刺さり、上半身車内、下半身ボンネットという半身浴。脇腹には折れたワイパーが昆虫採集のピンのようにスライド・イン。

 

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いきなりの熱い出会いにブランディ大パニック。あろうことか、トーマスを突き刺したまま自宅ガレージにピット・イン。
 
どうする? 今更病院には行けないし。第一そんなことしたら折角の昇進が…。まあ、済んだ事は仕方がないわ。あとはこの死体を片づければ…。
 
Help Me…」
 
げ! 生きてるわこいつ! どどどどーするよ、わたし!?

 

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頭ドレッド(恋人は黒人の売人)なミーナ・スヴァーリのビッチぶりが“いい感じ”。
 
スチュアート・ゴードンなので、てっきり車に何かが憑りついて襲ってくるホラーだと思っていましたが、実に真っ当なサスペンス・スリラーでした。
 
ラヴクラフトだけがゴードンじゃねえぞ”って感じでしょうか(類義語:“ゾンビだけがロメロじゃねえぞ”)。
 
話としては小粒ですがベースは実話(あくまでInspired By A True Story)。
 
実際に起きた事件は2001年、黒人の女性が運転する車が白人のホームレスを跳ね上げ、ホームレス突き刺したまま、自宅に戻り死ぬまでほったらかしにした、というもの。
 
「白人を殺してやったわ!」という自慢話が仇となって逮捕。懲役50
 
実話通りに映像化しても面白くないので、そこは映画的な展開に。
 
ユズナと絡まないゴードンの一面を見た気がします。

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