デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

瓦屋根? 大漁丸? 魔女の宅急便[実写版]

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『他に出来る事って何にもないんだよね。歌も下手だし。自転車にも乗れないし、美味しいパンも焼けない。飛行機も作れない。私には…そういうの全部が魔法に見える!

 

この台詞(だけ)は良かった。

 

魔女の宅急便[実写版]」2014年/清水崇監督)

 

監督が清水崇(「呪怨」シリーズ)って所にまず驚き。

 

ジブリ版ではなく角野栄子の原作をベースとしているので、ジブリ版をオリジナルとして清水版を批判するのはお門違いって事になりますが、全く意識するなというのも無理な話。


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こっちのキキはちょっとワイルド。初めて見る海でひゃっは~な波乗り披露。
 

とは言え、予算の都合やら大人の事情もあるでしょうから、クライマックスが飛行船事故というスペクタクルからカバの輸送という地味な仕事に変わろうが、お気に入りのキャラだったウルスラ(森の絵描きさん)が出て来なかろうが特段文句はありません。

 

ありませんが…。

 

キキが住み着くことになる街。鳥瞰でキキ舐めの街並みを捉えたカットにまず違和感。


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瓦屋根? 店名がすみれクリーニング? 船の横っ腹に大漁丸

 

確かに冒頭で“東洋のどこか”みたいなテロップが入りましたが、これ東洋のどこか、じゃないだろ。日本だろ。瀬戸内か長崎だろ。住んでるの全員日本人じゃん。

 

無理矢理、風車のある家とか作っていますが、やはり不自然。

 

いっその事、昔の日本(もののけ姫あたり)を舞台にした時代劇にしてしまえば良かったのでは、とすら思ってしまいます。


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違和感が拭えない…。
 

少女(と言うにはトウが立ちすぎていますが)の成長物語としての試練は“飛べなくなった(+ジブリ版ではジジの言葉が聞こえなくなった)”だけで十分。

 

不愉快千万な動物園飼育係の存在も含めて、迫害のようなシチュエーションなど必要ありません(そんなに“呪い”って言葉使いたいのか清水)。

 

飛べなくなったキキが再び飛べるようになるシーンは実質ドラマのクライマックスで、ここの見せ方(魅せ方)で評価が決まると言ってもいいキモの部分なのですが、ここが弱い。

 

タメがない、引きがない、寄りがない、盛り上がらない。ジブリ版の演出が如何に優れていたか再認識いたしました。

 

余談ですが、アニメと実写の決定的な違いはカラーリングだと思います。色使いの自由度の違いが実写をしみったれた印象にしています。

 

ここいら辺の悪条件を“災い転じて…”にするのが監督の演出力だと思うのですが、清水監督には荷が重かったようです。


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