全身整形モデルの話ではありません。エド・ゲインと並んでアメリカン・ポップ・カルチャーに黒い影を落とす男、チャールズ・マンソンのお話です。
有罪判決(1971)から5年後、まだ温かいシャロン・テート事件の全貌を描いたテレビ映画。
「ヘルター・スケルター」
(1976年/トム・グライス監督)
語り部となるのは、マンソン裁判の担当検事で、後に作家となったヴィンセント・バグリオーシ(Vincent Bugliosi。ブリオシと表記されることも)。
センセーショナルな題材ですが、トム・グライスの演出は極めて真面目。
無駄に煽ったりタメたりすることがないので、映画としては喰い足りないかもしれませんが、シャロン・テート事件のテキストとしては最良です。
また、マンソン役のスティーヴ・レイズバックはじめ役者陣が実にいい感じ。特にスーザン・アトキンスを演じたナンシー・ウルフ(下写真右)の取り憑かれ具合が絶品。
唯一、殺人行為に加担せず、司法取引に応じて証言者側に回ったリンダ・カサビアン役にマリリン・バーンズ。ちょっと得した気分です。
映画は間もなくマンソンが仮釈放の申請権を得る、という不吉なナレーションで終わっていますが、世の中そんなに甘くはなく、ことごとく却下されています(2012年に通算12回目の仮釈放申請が却下。次回の申請は15年後の2027年)。
本作のタイトル元であり、マンソンの終末思想(妄想)の源泉となったのが、ビートルズの「ヘルター・スケルター」(原義は螺旋式滑り台)。
ビートルズの曲としては数少ない(唯一か?)ハードロック・ナンバーで私もシングルを持っていました。
サビのフレーズが本編にも使用されていますが、よく使用許可下りたなあ。