デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

理不尽に理由を求めるのは理不尽か。 死霊高校

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『その名前を呼んじゃ駄目』

 

20年前、舞台装置(絞首台)の誤作動で主役(本来の主役がバックレてしまったために急遽代役となったチャーリー)が本当に首を吊ってしまった演劇THE GALLOWS


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その再演を翌日に控えた深夜の高校に忍び込んだ4人の学生の恐怖体験…を性懲りもなくPOV方式で撮った「パラノーマル・アクティビティ」プロデューサーの新作。

 

「死霊高校」2015年/クリス・ロフィング&トラヴィス・クラフ監督)

 

俺はライアン。同じアメフト部のリースが舞台で主役を張る事になったんだけど、奴には演技の才能がビタ一文ない。相手役のファイファーは女優気取りでいけすかない。リースは本気であんな女に惚れているのか。おまけに演目は20年前に死人を出した『絞首台』だ。そうだ、開演前日に忍び込んで舞台装置を壊して公演中止にしてやろう。我ながらナイス・アイデアだ。

 

ナイスでも何でもありませんが、テンパリ邦題テンパッていたリースはこの案に同意。ライアンのガールフレンド、キャシディと3人で深夜の学校へ。

 

景気良く破壊活動に興じている所に、“駐車場でリースの車を見た”というファイファーが。

 

我に返ったリースがあれこれ誤魔化しながら舞台に戻ると壊した装置は元通り。入る時に使った鍵の壊れた扉は頑丈に施錠されていて退出不能に。


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というのがお膳立てなのですが、そもそもの建て付けとして疑問なのが、

 

舞台装置破壊という“犯罪の証拠映像”を残す理由が分からない(ついでに言えば、カメラを回しながらべらべら喋り倒すライアンがちとウザい)。

 

この日に限って襲ってくるチャーリー(の霊)の動機・目的も今ひとつ。

 

前者に関しては、犯罪の証拠映像をNetUPしてドヤ顔の馬鹿が後を絶たない事を思えば、まあそんなものなのかも。

 

後者に関しては、『(20年前に死んだチャーリーの)名前を呼んではいけない』という台詞があるので、キャンディマンとかビートルジュースの親戚だと思えば合点がいかなくもありません。

 

上演を邪魔しようとする輩を排除するという防衛機能ってのもあったかもしれませんが、自分を死なせた演目ですから、むしろ上演阻止したいんじゃないか、とも思われ…。


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一応、ファイファーが(縁起の悪い)「絞首台」の再演にこだわる理由とか、リースがチャーリーに恨まれる遠因とか説明はあるのですが、チャーリー本人の想いが伝わってこないのがどうも…。

 

恨みを抱いての復讐なのか、無差別攻撃の地縛霊になってしまったのか。

 

超常現象という理不尽に理由とか動機を求めること事態が理不尽なのかもしれませんが、もうちっと腹に落ちる展開にしてくれると余計な疑問が残らなくて助かります。

 

あと、舞台、演劇、役者、絞首台といった重要な要素を全くイメージさせないすっとこどっこいな邦題をつけたワーナーの社員は減法処分で。


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