
青木ヶ原の樹海で消息を絶った妹ジェスを探しにアメリカから日本まで飛んできた姉サラ(ナタリー・ドーマー二役)の不思議ニッポン漫遊紀。
「JUKAI-樹海-」
(2016年/ジェイソン・ザダ監督)
樹海という自殺の森に目をつけたのは良いですが、一発ネタでヒネリがないので、ホラーとしては大して面白くありません。
何せ一番怖かったのが、サラが泊まった旅館にいた徘徊婆さんですから。
途中、心霊とは関係ない(人的なオチのある)サスペンスものにミスリードしようとするのですが、はっきりしないうちに「あ、やっぱ心霊?」に戻る腰の据わらなさも印象を散漫なものにしています。
では見所がないかと言うとそんなことはありません。異国は不安の象徴。サラと共に不思議ニッポンを体感しましょう。

日本についたサラはまず寿司屋へ。出てきた海老の握りはシャリの上で海老がピチピチ跳ねている活け作り。
『死んだ海老はないの?』
てやんでぇ、寿司は新鮮さが命。どんなネタも踊り喰いだ!
凄かったのは樹海の案内所(インフォメーション・センターだよ)。

サラが受付のおばちゃんにジェスの写真を見せると『はい、見つけましたよ』と言って地下へ。
案内所に石壁の地下室があるだけで驚きですが、そこは死体置き場!
『必ず誰かが付き添っていないと一晩中、魂が騒ぐんです』
そうそう、見つけた死体は必ず案内所で保管。警察なんか呼びません。日本の常識。
もうちっときっちり取材して青木ヶ原の擬似ドキュメントに近い作りにしてくれれば、日本人から見ても意義深い作品になったと思うのですが。
いや、これはこれで笑えるからいいか。

エンドクレジットの曲は「とおりゃんせ」。アメリカ人の耳にはどう聴こえたのか気になるところではあります。