アポロ・クリードの遺子アドニスがロッキー・バルボアをトレーナーにしてプロボクサーに。スピン・オフとは言え、はじめに「ロッキー」ありきの物語。
気にしていたのはその距離感ですが、見事なバランスでした。
クリードの物語として、そして「ロッキー・ザ・ファイナル」の後日談として、納得の仕上がり。「フォースの覚醒」にはなかった“愛”が詰まっています。
「クリード チャンプを継ぐ男」
(2015年/ライアン・クーグラー監督)
サブタイが蛇足な気がいたしますが、これがないと“無人の豪華客船で巨大ナツメウナギの群体に襲われる話”と区別がつきにくくなるので致し方ない処置ではあります。
お気に入りのシーンをふたつほど。
ひとつは、アドニスがアポロ対ロッキーの試合映像をプロジェクター投影で観る所。
アドニスはスクリーンの前に立つと、ロッキーの動きに合わせてシャドー。ロッキーに自分を重ねて、父アポロと対戦するアドニス。
一度も触れ合うどころか存在すら知らなかった父親とのコミュニケーションが映像越しの試合というのが切ないです。
もうひとつは「ロッキー・ザ・ファイナル」にもあったロッキーの妻エイドリアンの墓参り。
違うのは墓石がひとつ増えている事。今日は亡き友ポーリーの誕生日。
友には酒(THE FOUR ROSES)を、妻には花(薔薇)を。酒が花も兼ねているのがお洒落です。
かつてのロッキー同様、チャンピオンの噛ませ犬に指名されたアドニス。
意図的に封印しているんだろうなあ、と思わせたあの曲がここぞという所で流れた時は鳥肌が立ちました。
ロッキー好きは観て損無しな佳作だと思います。