動けないセガール親父の主役ポジションをキープするためのあの手この手。
「沈黙の作戦<ミッション>」
(2016年/キオニ・ワックスマン監督)
もはや数える気にもならない沈黙シリーズ最新作。親父の役どころは麻薬取締局特別捜査官のジョン・ハリソン。
彼が連邦保安官トム・ジェンセン(ルーク・ゴス)を取り調べているところから物語はスタート。
ジョンの説明とトムの証言から、麻薬王サラザールの逮捕と逃亡の顛末が語られる…という「ユージュアル・サスペクツ」仕様(ご丁寧なことにカイザー・ソゼの名前まで引用されている)。
サラザールはアジトでジョンに射殺され、死体を移送することになりますが、これが偽装。生きていたサラザールを連邦保安官チームが護衛、しかし、サラザールの死を疑った麻薬カルテルのメンバーが連邦保安官の宿泊ホテルを急襲、一大銃撃戦に。
麻薬王と連邦保安官が呉越同舟タッグを結成するあたり「要塞警察」の趣きもあり、それはそれで楽しめます。
とにかく、セガール親父は太りすぎで動けません。見せ場は冒頭のアジト襲撃シーン↑と最後のタイマン(相手は格闘家ジョルジュ・サンピエール)↓のみ。
これじゃあ、セガール主演映画とは言えないし、何よりアクション映画の体を成していない。
そこで、取調べという事後の回想形式にしてセガールの出番を増やし、更に動ける俳優を大量投入することによって、アクション映画としての面目を保つ…実によく出来た脚本です。
ミステリー仕立てにすることにどれほどの意義があったのかは甚だ疑問ではありますが、セガールという材料を使って一品仕上げるというお題はクリアしています。
これからの沈黙シリーズはセガールの巨体に比例してどんどんハードルが高くなると思いますが、逆にこれを利用してとんでもない設定で逃げ切る珍品が生まれることを期待しています。