『アモン、勝負だ!』
『だから! アモンじゃねぇと言っているだろう!』
石ノ森章太郎キャラと永井豪キャラ。性格真逆なヒーローを無理矢理シェイク。初の原作者越境対決の結末は…。
「サイボーグ009 vs デビルマン」(2015年/川越淳監督)
ブラック・ゴーストがデーモンと手を組んで…という建てつけは、ドクター・ヘルがデーモンと結託した「マジンガーZ対デビルマン」と一緒で新鮮味はありません。
絵として魅せる部分はありましたが、脚本自体はありきたり。
ここは双方の性格の違いを生暖かく見守るというスタンスが吉でしょう。
作品のテーマのひとつになっているのが「何のために戦うのか」。
デビルマンの戦う理由はただひとつ。牧村美樹を守るため。天晴れなほどに迷いがありません。対するサイボーグ連中にとってここは迷いどころ。
これは拉致された挙句に気がついたらサイボーグにさせられていた島村ジョーと、自ら進んでデーモンと合体し、その精神を乗っ取った不動明のアイデンテティの違いでしょう。
とにかく石ノ森キャラは迷います。まず俺は何者だ?から始まり、ここはどこだ?なぜ戦う?何のために?誰のために? きっとセックスする時も「セックスとは何か?」「その行為の目的は?」とかについて自問自答しないと前戯にも及べないんじゃないでしょうか。
永井豪キャラは直情一直線。どこまでも熱血。相手が誰でもタメ口。敵がいれば攻撃。男は女のために戦い、女は身を挺して男を守る。
「美樹、君がいる限り俺は悪魔人間(デビルマン)だ!」(不動明)
「戦って戦って、それでも敵わない時はマジンガーZと一緒に死ぬだけです!」(兜甲児)
本作でも永井キャラのアッパーな感じは良く出ていました。
『何故キサマごときにアモンが乗っ取られた?』
『知るかよ!』
戦いの最中とは思えない偏差値貧乏な会話(笑)。それでこそデビルマンです。
作品として面白かったか、と問われれば『う~む』ですが、石ノ森キャラ、永井キャラ双方のカラーは良く出ていたと思います。
単なるサービスだと思いますが、ラストで飛鳥了の前にサイコジェニーが現れましたね。という事は…(この先、真面目に映像化したら二階級特進)。
★ご参考