前作「檻の中の女」事件によって一躍脚光を浴び、同時に署内の反感も買うことになった特捜部Q。
ひとりの男がカール(ニコライ・リー・ロス)宛ての遺品を残して自殺。
男は元警部。遺品は20年前の殺人事件に関する資料。被害者は彼の息子と娘。
未解決事件ではありません。犯人が出頭し、裁判を受け、刑が確定し、服役も終えている完了案件。しかし、男は納得せず、20年かけて事件を追い、志半ばで命を絶ちました。
全てをカールに、特捜部Qに託して。
「特捜部Q キジ殺し」(2014年/ミケル・ノルゴート監督)
デンマークミステリーのシリーズ2作目。特捜部Qには新たに秘書ローセが配属され部署っぽい雰囲気に。
警部の遺品はもうひとつ。猫。『名前は?』『CATだ』
前作は行方不明の女性議員を追うというストレートな構成でしたが今回は時間軸を膨らませ登場人物も多数。凝っています(が混乱は無し。やはり脚本書いている人、巧いです)。
20年前の寄宿舎と現在がカットバックしながら事件関係者の陰影を織り込んでいきます。
逆にシンプルになったのが犯人像。前作は常軌を逸しつつも、理解できなくもない動機を抱えていましたが、今回は単なる性格異常者(たち)なので同情の余地無し。
唯一、犯行の加担者であり目撃者であり通報者である女性キミーだけが僅かにキャラ造形がなされていますが、それでも十分とは…。
ミステリーの記号として認識するなら、贅肉そぎ落としたソリッドな構成と言えるかもしれません。
追う側も追われる側ももう少しキャラのぶつかりあいが欲しかったなあと思います。