デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

挽歌。 サム・ペキンパー/情熱と美学

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『以上が彼の生涯だ。
得たものより失ったものの方が多い。
妻や友人たちを失くし、正気すら危うく、
時間を浪費した』
 
以前、カーペンターの研究本「恐怖の詩学ジョン・カーペンターを紹介した際、
 
語るべき監督は突き詰めれば、ロメロとペキンパーとカーペンターの三人だけのような気がします(リンチやホドロフスキースノッブが好みそうで嫌だ)。
 
なんて事を書きましたが、この反骨3兄弟(←今勝手に命名しました)の長兄、サム・ベキンパーのドキュメント映画です。
 
サム・ペキンパー/情熱と美学」
2005年/マイク・シーゲル監督)
 
もうオープニングから音楽が哀しげ寂しげ鎮魂歌。時代に取り残された男を悼む挽歌な香り。
 
原題が「PASSION &POETRY: THE BALLAD OF SAM PECKINPAH」。
 
WIKIの解説によればBALLADとは“過去の出来事についての韻文による歴史物語であり、武勇伝やロマンス・社会諷刺・政治がテーマとなるが、バラッドの内容はほとんど必然的に破局が訪れる”んだそうです。
 
言いえて妙なタイトルです。

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構成は解説というよりは目撃者の証言。様々な目撃談の積み重ねでペキンパーのトラブル・メーカーぶりが浮き上がってきます。
 
ある時はプロデューサーと、ある時はスタッフと、そして家族と。
 
酒に溺れコカインに嵌り、気がつけば独り。
 
証言者としてジェームズ・コバーンアーネスト・ボーグナインの姿が見られるのも僥倖。
 
『メキシコ人が実弾撃ってきやがって』
 
洒落にならない話を嬉々として語るボーグナインが妙に可愛い。
 
『(「ワイルド・バンチ」の演出で悩んでいたペキンパーに)好きなようにやればいいんだよ。の雨を降らせてやれ!
 
歴史的アドバイスだったのではないでしょうか。

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人として駄目駄目でも監督として最高。映画監督は破綻しているくらいが丁度いいと思います。
 
★ご参考

 



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