かなり前に買って“積みっ放し”にしていた北米版を一気観。なる程、この成功を下敷きに「迷家」が出来た訳か(結果は残念無念でしたが)。
「Another アナザー[北米版BD-BOX]」(2012年放送/水島努監督)
夜見山北中学校3年3組にかけられた呪い。ランダムにやってくる“ある年”と“ない年”。
“ある年”には、3組に死者が紛れ込み、クラスの関係者(生徒、教師及びその2親等以内の親族)が毎月死んでいく…。
死者に関する記憶は改竄されているので、誰が死者なのかは誰にも分からない。
経験から学んだ対応策、それはクラスのひとりを“いないもの”として扱い、結果としてクラスの人数を元々の数値に強制的に戻す、というもの。
ここに事情もルールも全く知らない転校生が入り込み、“いないもの”に接触した事から死の連鎖が発動し…。
滑って刺さって血の雨を受けて染まったアンブレラ。
設定そのものが突っ込み所の宝庫なのですが、巧みな(そして無理矢理な)ミス・ディレクションと豪快なゴア描写(疑問が顕在化する前に次のイベントを畳み掛ける)という剛腕演出で乗り切っています。
グシャ!という音が見えるエレベーターdeフリーフォール。
活字ならではの叙述トリックを反則スレスレ(いや、やっぱり反則だな)の作画トリックで逃げ抜けたのは流石です。
感心したのは、ホラー・ミステリーなのにしっかり水着回があり、ちょっと和ませておいて唐突な惨劇に繋げ、それが夜見山の外だったことから「夜見山を離れれば安全」という逃げ道を塞ぐ3段オチになっていた事(まあ、死因は夜見山にいた時の転倒による脳挫傷だったわけですが)。
釈然とはしないが、十分面白くはあった、というのがアニメ版の感想。ついでなので実写版も観て見たのですが、う~む、こっちはちょっと酷過ぎ。
「アナザー Another」(2012年/古澤健監督)
全編端折っているくせにテンポが悪いから、設定が内包している矛盾やら疑問やらがことごとく表面化。
見崎鳴(橋本愛)の登場シーンが病院の死体安置所なのは一緒ですが、鳴の出生を綺麗にスルーしているので、死体安置所に行った理由、実は死の連鎖は転校生が来る前から始まっていた事など全部うっちゃってます。
実写版の傘ぐっさりとエレベーターで鏡ざっくり
本来見せ場になるはずの殺戮シーンが全部ギャグ。これは致命傷。
眼にスプーンが刺さって死ぬとか何の冗談だ。
笑う以外にどんなリアクションをしろと?
驚いたのは、ボートを係留しているぶっといワイヤーにぶつかって首チョンパになるシーン。
ありえねー。あの太さのワイヤーで首斬ろうとしたら時速200kmくらいで全力疾走してこないと無理でしょう(若しくは首が豆腐でできている特異体質か)。
最早ナメているとしか言いようが…。
例の叙述トリックも映像トリックも早々に諦めたのは潔いと言えば潔いですが、では代わりの何かがあったかと言うと何も。
ホラーもミステリーも語り口が悪いと台無しという見本でした。