目をつけられたら終り。当たり屋より辻斬りよりタチの悪い粘着質なゴロマキストーカー。
これが柳楽優弥か…。
「ディストラクション・ベイビーズ」(2016年/真利子哲也監督)
誰でもいい。適当な目星をつけて喧嘩をふっかけボコられる。ボコられるのがチャージであるかのように蘇生してリマッチ。どこまでも追いかけ、いつまでもつきまとう。
一般人もヤクザも関係なし。勿論、人数制限もなし。
殴り殴られ蹴り蹴られ…。ただその繰り返し。そんなものが映画になるのか?
なっています。剥きだしの破壊衝動と破滅願望を煮〆た純怒100%の喧嘩の花道。
柳楽優弥はちょっと若い時の北村一輝とイメージがダブる。実にいい顔。
ストーリーを拒絶した展開にどうオチをつけるのか。後半、酔狂にも自ら巻き込まれにきた男と不幸にも巻き込まれてしまった女の3人によるロードムービーに堕してしまうのが個人的にはちと肩透かし。
柳楽優弥は理解不能な厄ネタであり、一種のモンスターなのですが、残り二人はそこいらに転がっている駄目で馬鹿でムカつく男女。
前半の神話性が日常に侵食されてしまうのはやはり残念。
できれば(お話として破綻しても構わないので)どこまでも柳楽劇場として不条理な暴力を突き詰めて欲しかったです。
ただ、怒り臨界に達した女が盗難車の運転を押し付けられた時の行動(アクセル全開大暴走)には痛く共感しました(若い時教習所で似たような事をしたので)。
女の意図を悟ってニンマリ笑う柳楽の表情がいい。
←ランキング投票です。よろしければワンポチを。