何の変哲もない遊歩道を「人喰いトンネルだ!」と言い張ってみる。
ただデカイだけ(アンティークではある)の鏡を「怨霊鏡だ!」と言い張ってみる。
言い張れば異世界inベルギー。
「THE ROOM ザ・ルーム」(2006年/ジル・ダオスト監督)
才能などかけらもないのに音楽家の夢を捨てきれない父、そんな父に付き添って人生を棒に振ってしまった母、ダウン症な上に半身不随の息子と父親の分からない子供を宿してしまった娘。
全方位ドツボ。家庭崩壊オープンリーチ(いや既に木端微塵)な幸せ家族。
ハラボテな娘とダウンで不随な息子。
互いを傷つけあうことでしか繋がりを保てないこの家の2階突き当りに忽然と現れた1枚の扉。
勿論、異世界への扉です。同時に家の全ての扉がロック。窓は枠もガラスも超合金。脱出不能のシチュエーションホラーの始まりです。
…って書くとスゲー面白そうですが、これが実に微妙。
役者の怪演で何とか持っていますが、脚本はかなり退屈。80分と短尺ですが、倍速で丁度いい感じです。
ダウンな息子が観ているテレビに何度となく映し出されるのは「30秒で分かるシャイニング(The Shining in 30 seconds, re-enacted by bunnies)」。
ウサギキャラによるシャイニングダイジェストです。
こんな安い手に乗せられる私も私ですが素直に「掴みはオッケー」でした。
勿体ぶるオチでもないのですが、この脱力感をひとりでも多くの人に味わってもらいたいので、敢えて触れないでおきます。