デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

もうひとつ裏を覗いてみたい。 ヤクザと憲法

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『ヤクザは認めんということやろ。暴力団や言うて。本当に認めんのやったら全部なくしたらええ。選挙権も皆なくしたらええ。剥奪したらええ。まともな仕事ができたらあかんというねん。生業も持つなって言うてんねん』


『だったらヤクザをやめればいいという話が絶対出てくるわけですけど…』


『どこで受け入れてくれる?』
 
日本国憲法が保障する法の下の平等にヤクザは含まれるのか。
 
東海テレビが大阪の指定暴力団二代目東組二代目清勇会の内部にカメラを持ち込み、ヤクザの日常に密着したドキュメンタリー。


「ヤクザと憲法
2015年/土方宏史監督)


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二代目東組 二代目清勇会 会長 川口和秀、この人のオーラは半端ない。
 
背景に大きく横たわっているのが暴力団排除条例でしょう。現在、ほぼ全ての都道府県で事業主が暴力団員とわかっている者を雇用してはならないこと、また事業の契約、金銭の貸し借りを禁じています。
 
今、サラリーマンをやっている人(特に事務方)なら、この条例がどれだけ仕事に影響を及ぼしているかご存知のはず。
 
全社員から「自分は反社(反社会的勢力=暴力団)ではない、かつ関わりも持っていない」旨を記した誓約書を取り、契約書には「相手方が反社であることが分かったら契約解除」の一文が例外なく踊っています。
 
条例を字面通り捉えるなら(ヤクザは)あらゆる経済活動ができないことになります。
 
暴力団員であることを隠して(黙って)銀行口座を開設すれば、通帳とカードを騙し取ったと看做されて詐欺罪が成立してしまうのですから。
 
事務所も借りられないし、アパートや公営住宅にも入れない…はずなのですが、依然として暴力団事務所は存在しているし、組員も路上生活者にはなっていません。
 
条例が警察の恣意的な運用下にあることは明白なのですが、番組がその辺りの矛盾を突く事はありません。
 
カメラが暴力団事務所に入った(Wikiによれば、100日間密着し、40分テープ500本分の映像を撮影した)ことのみが画期的なのであって、ドキュメンタリーとしては正直ヌルいです。
 
むしろ、この企画が東海テレビの中でどのように立ち上がり、どのような議論を経た上でGOサインが出、どのように暴力団事務所と交渉し、撮影にこぎつけたのか、その経緯こそ知りたいと思います。


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暴力団怖くないですか?の質問に)『怖いて何が? そんなん怖がってたら生きていけんで新世界で。警察何守ってくれんの?と笑っていた食道のおばちゃん↑が印象的でした。

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