「怪獣ウラン/X…THE UNKNOWN」(1956年/レスリー・ノーマン監督)
舞台はイギリス。軍の放射能計測器の使用訓練というマニアックなシーンからスタート。
異常値を示す計測器。地割れ、爆発。巻き込まれた兵士の皮膚には被爆の痕跡。
邦題から期待される“巨大な生き物がロンドンの街をささらもさら”な描写はありません。だからと言って文句を言うのも筋違い。
老練な科学者とフットワークの良い若者、軍と警察関係者。人物配置は「ウルトラQ」や「怪奇大作戦」のプロトタイプのように見えます。
怪異現象に科学で挑む。
この人が一の谷博士、この人が万城目兼牧史郎、この人は宇田川刑事兼町田警部か…てな事を考えながら観てしまいました。
意思を持った粘体(スライム)という形状も「2020年の挑戦」「光る通り魔」あたりに継承されているようないないような。
怪物はなかなか姿を現さず、被害だけが拡大していく展開はいかにもこの時代のSFという感じ。
被害者(子供も容赦無し)のリアクション芸で状況説明。
特撮も頑張っています。放射能で火ぶくれ溶けるカットとか結構グロ。「レイダース」クライマックスのナチどろどろシーンとかは本作オマージュみたいです。
ラストのいい加減なオチは好みの分かれる所かもしれませんが、後のヘドラ戦に於ける巨大電極版攻撃を想起させる構図は個人的にグッときました。
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