目覚めれば無人。電気も水道もストップ。雑踏も喧騒もない無音の街。一体何が。人々はどこへ。
デストピアを愛する者にとっては最高のシチュエーションです。
「ロボット大襲来」(1954年/シャーマン・A・ローズ監督)
無人の街が静止画(写真)であるという所を見なかった事にすれば、導入はなかなか。
出逢ったのは、睡眠薬かっ喰らって爆睡していた自殺失敗女、路上で強盗にぶん殴られて昏倒していたビジネスマン、そしてレストランでベロベロに酔っぱらっていた老夫婦。
誰も昨夜の事を覚えていない、という状況も実にSFっぽい。
どうやら金星あたりから侵略者がやってきて、街の人たちは皆避難した後らしい。だからって一晩で街ぐるみ退去して、軍も警察も姿無しってのはどうかと思うぞ(この行き当たりばったりな適当感が堪らない)。
で、タイトルの「ロボット大襲来」。
設定はその通りなのですが、画面に映るのは1体のみ。1体を登場全シーンで使い回すという低予算映画のお手本です。
そしてこのロボットのデザインが…。
小学生の夏休みの自由工作かよ!と突っ込みたくなる段ボール感満開のハリボテ野郎。
目(?)から怪光線! 階段だって上れちゃう。
でもしばらく眺めていると愛嬌があって、これはこれで味わい深いな、な気持ちになるからあら不思議。
終盤に脱走犯が絡む以外さしたるサスペンスもなくテンポはまったりのんびり(この脱走犯のシーンも唐突かつ無理矢理で違和感祭り)。
軍は鹵獲したロボットを使って対応策を検討。対策が見つからなければ原爆落として街ごと消去というタイムリミットがあるのですが緊張感ゼロ。
これらを“味わい”として消化できるかどうか、マニアの試金石ですね(笑)。
トワイライトゾーンの1話として30分でまとめてくれたら、印象深いエピソードになったのではないかと思います。