《ゆっくりと…記憶が欠けていく。人格がこぼれていく。ごめんね。もう…君達の事…半分以上忘れてる》
自爆の定めを全うせず、ヴィレムと共に生きることを決意した妖精兵器クトリ。
500年前に果たせなかった想いを遂げるため、クトリに寄り添うと決めたヴィレム。
《もし私が本当に妖精兵じゃなくなって普通の人と同じような夢を求めることが許されるなら…その時は…この人の隣に寄り添っていきたい》
これもう最終回でいいじゃん!な邂逅は最高のハッピーエンドに見えましたが、それは悲しみのプロローグ。
記憶が、思い出が、少しずつ消えて行く。クトリとヴィレムが常にお互いをまっすぐに見つめて心をぶつけて行く様子は(この設定がなければ)微笑ましいイチャラブなのですが、全てが砂上の楼閣になるかもしれないと思うと切なさがこみあげてきます。
自分が消えて行く苦悩と恐怖。そんなクトリに前に現れたのがアイセア。
『ういうい。あたしはアイセア・マイゼ・ヴァルガリスっすよ。んであんたは誰っすか?』
前世の記憶なんか無視しろ、でないとどんどん自分が削り取られて思い出も人格も何もかもなくなってしまう…私みたいに。
初めて明かされるアイセアの過去。
前世の浸食を受けて人格が消滅、新しく目覚めたのは全くの別人格。ここがどこで自分が誰かも分からない。
目の前にあったのは日記。それはアイセア・マイゼ・ヴァルガリスが生きていた唯一の証。
『明るくておせっかいでうざいぐらいに周りに絡んでそのくせ全然素直じゃない。アイセア・マイゼ・ヴァルガリスはそういう子だった』
アイセアの存在を誰にも知られることなく受け継ぐことを決意した少女。それが今のアイセア・マイゼ・ヴァルガリス。
これを踏まえてこれまでの彼女のフルネーム自己紹介(例えば第8話の『ういうい。あなたのアイセア・マイゼ・ヴァルガリスっす』)を思い出すと響きが全く違って聞こえます。
『聞かないんすね。あたしの本当の名前とかどこの何物だったのかとか』
『君もアイセアでしょ。明るくてお節介でうざいくらい周りに絡んでそのくせ全然素直じゃなくて。私達の同僚で大切な友達。他の誰にも見えないよ』
君ら本当にええ娘やなあ…。
残り3話。どう転んでもハッピーエンドの芽が見えてこないフラグを立てまくって物語は最終ステージへ。
「終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?/第3-9話」(2017年5-6月放送/和田純一監督)
おまけ