演技は稚拙、親子の会話なんかアドリブかと思うくらい上滑りしていますが、目が語っています。
ドキュメントと言っていいくらい乾いているのに、画面からは圧倒的な熱量が。
「大阪外道-OSAKA VIOLENCE-」
(2012年/石原貴洋監督)
大阪。下町。組織に属さない狂犬が2匹。
なんじゃそりゃな因縁つけて金を巻き上げる外道と、絵に描いたような厄ネタ非道。
外道は大人には理屈も容赦もありませんが子供にはマザー・テレサのように慈愛を。みかじめの分はきっちり働くので不法自警団としてギリギリの存在意義があります。
対する非道は殺しに躊躇なし。息子を殴ることに依存(娘は父親の暴力から逃れることに気を使いすぎて半ば精神崩壊)している“人としてどうよ?”な毒男。
交わることのない二人でしたが、家出した非道の息子を外道が預かったことから事態は思わぬ方向に…。
対決ものを取り上げるたびに「サンダ対ガイラ」を引き合いにだすのも如何なものかとは思いますが、二人の出会いは正に怪獣映画のノリ。
語り部の視点になるのは12歳の少年マサシ。母親入院、トビの父親も事故で入院、親族にも見限られたマサシはひょんな事から外道の家に。
マサシは非道の殺人現場とか目撃しちゃってます。
大阪・暴力・子供で思い出すのは三池の初期作品(「喧嘩の花道」「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」「岸和田少年愚連隊・望郷」)。
本作ラストの切り取り方なんかまんま三池ですが、三池作品の持つボヘミアンな明るさ、郷愁といったものがこちらにはありません。索漠なまでに乾いた画面。その画面が放つ“圧”。
似て非なる暴力の日常。