『監視自由法の条文だ。742ページを見ろ』
『“捜査当局が現場に居合わせなかった場合、アイボーグは犯人の行動を妨害することができる” だから?』
『対象をテロリストに限定していない。どんな悪さもアイボーグに見つかれば…やられちまうんだ』
『まさか』
『もし、アイボーグが武器を装備していたら? ロボット兵が一般社会に潜入して政府の敵を探しているのかも』
『アメリカは…そんな国じゃない』
未来設定のお話ですが、日本ではつい最近似たような法律が可決されたような。日本は…そんな国…なんだろうな、きっと。
「EYEBORGS アイボーグ」
(2009年/リチャード・クラボー監督)
タイトルだけ見た時は、高性能義眼を装着して活躍するなんちゃってロボコップかと思い、メインビジュアル見た時は、安いCGのロボが大暴れするなんちゃってロボジョックスかと思いましたがどっちもハズレでした。
強いて言えば「未来警察」+「カンバセーション…盗聴」って感じ。
国際テロから自国を守るため、各国は国際監視協定を締結。世界中の監視カメラの映像を国防情報監視ネットワーク“ODIN”に集約して一括管理。
更に自立移動できる監視カメラ“アイボーグ”がこれをアシスト。固定カメラの届かない屋内にも監視の“眼”が。
お話はアイボーグ導入に一役買った刑事(←妻子をテロリストに殺された)ガンナー(エイドリアン・ポール)、アイボーグシステム拡大を推し進める合衆国大統領、大統領暗殺を企てる地下組織(リーダーはダニー・トレホ)辺りを軸に展開。
おちゃらけZ級SFかと思いきや、エライこと真っ当なサスペンスでした(SFとして観るのならさしずめ“スカイネット覚醒前夜”といったところ)。
これでアイボーグ(勿論フルCG)の出来がお粗末だと台無しなのですが、これがなかなか良い出来で。
犯罪の証拠として提出される現場映像に疑問をもったガンナー。アイボーグシステムの裏にあった陰謀とは。
全てがフェイクだった事が分かるクライマックスは小粒ながらいい感じの見せ場になっています。
完全ハッピーエンドにしないほろ苦さも好印象(続編作る気じゃないだろうな)。
近未来感を感じるカットは特にありませんでしたが、タバコが完全ご禁制品になっている(アベックが非合法タバコでキメセクしている)のには苦笑しました。