デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

脳天唐竹刺し。 空飛ぶ十字剣(そしてロメロが…)

イメージ 1

DVD
はおろかVHSにもなっていない未ソフト化作がAmazonプライムに。
 
これがまた色んな意味で突っ込み所満載で…。
 
 

「空飛ぶ十字剣」

1977年/チャン・メイチュン監督)
 
時はお馴染み明王朝末期。権勢を誇る宦官と彼に師匠を殺された弟子の復讐劇ってのが基本骨子。
 
まずラスボスが宦官ってのが日本人的には新鮮。


朝政を専断した宦官は実際にも結構いたようで、劉瑾(りゅうきん)という宦官は国家転覆を画策した罪で凌遅刑に処されています(「マーターズ」で写真が出てきた奴か?!)。
 
宦官=男色ではないですが、それを匂わせる描写(え、事後? え、夜伽?)が何気に挿入されていて、今なら腐女子大喜びかも。
 
ポスターにある通り、本作、劇場公開時は“3D”が売り物の超立体映画でした。3Dと言っても70年代の3D、赤と青のセロハン貼り付けた専用メガネで観るタイプ。
 
全編に渡って“飛び出す”演出が施されているのですが、これを2Dで観るとエライこと間抜けで「ああ、ここで皆避けたりのけぞったりしたんだろうなあ」と微笑ましい気分になります。
 
槍や刀はもとより、籠の担ぎ棒まで飛び出そうと必死。しかし極めつけはオリジナルの武器。
 
ポスターに描かれている鎖鎌の親戚みたいな奴はその名も「首刈りクワガタ剣」! こいつが妙な効果音と共にズキューン、首を挟んでジョキーン、シュポーン(←何と言う偏差値貧乏な表現!)。
 
明らかに「空飛ぶギロチン」(血滴子)のパクリですが、オリジナリティにこだわる辺り好感が持てます。
 
そして、そして、邦題にもなっている空飛ぶ十字剣。これがいつまで待っても出て来ない(笑)。いい加減諦めたクライマックスにどどーんと登場。
 
てっきり主人公の最終兵器かと思っていたら、ラスボス宦官の武器でした。それも鎖帷子が変形して巨大な十字ブーメランになるという素敵仕様。


イメージ 2
これが空飛ぶ十字剣だ!
 
これだけバラエテイに富んだ武器を並べておいて、トドメは脳天唐竹刺し。そう言えば「クローサー」でも倉田先生に唐竹刺しをお見舞いしていたな。香港・台湾ではトラッドなキメ技なのだろうか。
 
で、実は本映像最大の突っ込み所はその出自。
 
テレビ放送された吹き替え映像がまんまアップされているんですね。CM明けのキャッチには「火曜ロードショー」の文字が。
 
火曜? 月曜でも水曜でも木曜でも金曜でも日曜でもなく火曜?
 
火曜ロードショーってのは、日本テレビ系の映画枠『水曜ロードショー』及び『金曜ロードショー』の山形県地区ローカルの代替番組枠なんですね。
 
何故、山形ローカルのTV放送映像がAmazonプライムに?
 
著作権ってどうやってクリアしたんでしょ。ちょっと気になります。


★★★★★★★★★★★★★★STOP PRESS★★★★★★★★★★★★★★
ロメロ死す!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ジョージ・A・ロメロ監督が16日、お亡くなりになりました。肺癌。77歳。
追悼記事は改めて。ご冥福をお祈りいたします。
イメージ 3イメージ 4←ランキング投票です。よろしければワンポチを。