
酷い・安い・笑えない。しかし、それこそが河崎印。
期待に応える駄目映画。
「大怪獣モノ」(2016年/河崎実監督)
「日本以外全部沈没」「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」に続く特撮巨編。
モノってのは怪獣の名前。やくざモノ、特撮モノのモノではありません(当然狙った紛らわしさだとは思いますが、分かっても笑えないのが河崎印)。
ストーリーは…突如出現した怪獣に巨大化した人間が挑む。以上。
「大日本人」に対する河崎監督なりの回答なのかもしれませんが、どっちも最低(笑)。ハナっから最低狙いの河崎版の方が潔いとは思いますが。
変身(巨大化)したら役者も替わるというのは庵野版「帰って来たウルトラマン」から連なる伝統芸。
人間体の時は斉藤秀翼、強化後1(善人)が飯伏幸太、強化後2(悪の遺伝子配合)が鈴木みのる。文字通りの怪獣プロレスです。

特撮に対する目配せ(特に「フランケンシュタイン対地底怪獣」)はそこかしこに見られますが、グッと来たのは明神岳に発生したジュガンダ(巨大ムクゲの亜種)を発見した時の、
「これは3億5千年前に棲息していたものよ」という台詞。
3億5千年。何気に効き流してしまいますが、数字で書けば300,005,000年。滅茶苦茶中途半端な年数です。単位を円に変えると3億5千円です。何だよその5千円って。
どう考えても3億5千万年前が正解ですが、これはウルトラマン第19話「悪魔はふたたび」で脚本家か役者のいずれかがやらかしてしまった有名なミス。
敢えてミスのまま引用したところに河崎監督の愛を見ます。

調査の結果、モノは人間で言えば70過ぎのババアであることが判明。
ならばその相手ができるのはこの人しかいない!