いつまで待ってもお話が転がらず「クライマックスって何?」な消化不良のまま幕を閉じたTVシリーズの後日談にして補完編(一見さんお断り)…なのですが。
「劇場版 艦これ」
(2016年/草川啓造監督)
TV版に今ひとつノレなかったのは、「第1話」と「第8話」の2話しかレビューしていないという辺りにも表れていましたね。
批判の的だったコミカル要素を抑えて、戦闘シーンに力を入れたバランスは評価しなければならない(と言って満足しているわけでもない)のですが、それを差し引いても平坦な(滾ることのない)仕上がりであったと思います。
花田さん、絶対楽しんで書いてないだろ。
強い未練と哀しみを抱いて沈んだ艦娘が深海棲艦になるというロジック(戦っていた相手が実は…という鉄板オチ)は一見良く出来ているようにも思いますが、同時に「じゃ最初に攻撃してきた深海棲艦の正体は何?」という素朴な疑問も。
あと怨み部分を切り離した“引き裂かれた自我”ネタは「黄昏乙女×アムネジア」という良く出来た前例があるので二番煎じ感が半端ありません。
本来、主役として無理矢理にでもお話を転がさなければならない立場の吹雪が傍観者であり続けたのも敗因(暗さや不条理感は助長されましたが。と言って悲壮感が上塗りされる訳でもない)。
「ガルパン」「ストパン」に流れていた“諦めないシンプルな熱血”がすこーんと抜け落ちている(そもそもそんなものを艦これに求める事自体が間違っているという批判はさておき)のが、私が本シリーズにのめりこめない要因なのかもしれません。