デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

狂い壊れ食す。 山本エリ「復元可能性ゼロ」と化す

イメージ 1このポスターとタイトルを見てビクリときた人は覗いてみてください。
 
自主製作然とした低予算映画(資金はクラウドファウンディング)ですが、観終った後の嫌ぁな感じは面白い/つまらない以前に記憶には残ると思います。
 

山本エリ「復元可能性ゼロ」と化す

2015年/桑水流勇気監督)
 
狂人症という謎の奇病が広がりつつある世界。キャリアと認定された人間は通院が義務化され、発症を抑えるためきっかり12時間置きに指定の薬を服用しなければなりません。
 
そして3ヶ月通院記録のない人間は「保護」のため保健局が動くことに。
 
狂人症キャリアの山本エリが失踪。妹が言うには実家である京都に戻って空爆に遭って死んだ…らしい。
 
そう、京都は謎の組織(IS的な?)の攻撃を受けて立ち入り禁止になっているという設定なのです。
 
映像はでませんし、登場人物の口から語られるだけなのですが、背景としてうまく機能していたと思います。
 
狂人症というのは乱暴に言えば、鬱→統合失調→ゾンビ化という道を辿る病気です(何て分かりやすいメタファー)。
 
身内に罹患者が出たら家族はどうする? どうなる? 
 
復元可能性ゼロってのは要するに“治療不可”ということ。それを納得させる行為をエリは最後に実行します。
 
あーまさかそれやるのか、やるよねそりゃ、ってかやらなきゃ駄目でしょここまできたら、あーやっちゃった。
 
大手資本が入っていたら絶対撮れない描写(気にせずやって放送禁止になったインプリントぼっけえきょうてえ撮った三池を除く)。
 
どんなチープな(駄目な)映画でも、記憶に残るシーンがひとつでもあれば名作。
 
2回新人監督映画祭にてコンペティション部門長編作品部門準グランプリ受賞



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