せり出した前頭葉と極端に狭い眉毛の下。レスリング部のマッチョな肉体と相まった見事なゴリラ顔。普通の学園ものだったら間違いなく主人公をいじめるジョックスです。
これがヒーローなのか。う~む。
「ミッシングID」
(2011年/ジョン・シングルトン監督)
スポーツ万能の高校生ネイサン(テイラー・ロートナー)はある日、誘拐被害児童一覧サイトに13年前の自分の写真を発見。
俺は誰だ? あれは俺の両親ではないのか?
原題はABDUCTIONでまんま誘拐なのですが、これはミスディレクション。果たしてネイサンの正体は…。
掴みはOKですが、その後が駄目駄目。
アメリカの機密情報を垂れ流した売国者リストを入手したエージェントがネイサンの実の父(両親はネイサンを保護しているCIA工作員)。
このエージェントにデータを引き渡させるための交渉材料として敵対組織が探していたのがネイサン。
誘拐児童一覧サイトは一種の撒き餌でネイサンを発見するためのフェイク…って待て待て待て。
ネイサンがこのサイト見つけて問い合わせして来る確率って幾つだ。そんな罠を仕掛けて網に掛かるのを待っていたのか。13年も?
売国奴リストがネイサンの無意識下に刷り込まれているとか、パスワードが頭皮に刺青されているとか、本人でなきゃ駄目な理由があるならいざしらず、ただの交渉材料(人質)を見つけるのにそんな手の込んだ真似をするか普通?
しかも、暗号化されたデータがネイサンの携帯にメールで送られていただと? メールで送れるんならとっととCIA長官にでも大統領にでも送れよ。
“誘拐児童サイトに自分の写真を見つけた”というワン・アイデアだけに乗っかったやっつけ企画としか思えません。
銃火器が色々登場するのが見所と言えば見所。
ネイサンの家に来た殺し屋さんが持っていたルガーMkⅡが個人的にはグッとくるシルエットでした。
1950年にアメリカのスターム・ルガー社が競技用として開発した自動拳銃スターム・ルガーMkⅠのバリエーション。
同じルガーの発音ですがルガーPO8のルガーとは別物(スターム・ルガーはRuger、ドイツのルガーはLuger)。
MkⅡはスプレッサー内蔵タイプで暗殺任務に適した銃です。
暗殺と言う繊細な任務と南部式+オートマグな外観のギャップが何ともいい味わいです。