<その笑顔を見た時なんか心がブルブルした。”はぁ…武者震いって多分これだ”と思った>
玉木マリ(愛称キマリ)。16歳。高校2年生。何かを成し遂げようと思いながら、何も成し遂げられなかった少女の心に灯った目標。
きっかけは100万円。
できるのか。行けるのか。
誰もが報瀬を笑う。できるわけがない。行けるわけがない。しか、キマリは笑わなかった。報瀬が何かを成し遂げようとしている人だから。
『私ね高校に入ったら何かしようと思ってた。今までしたことない事とかなんかすごい事とか。でも何もできなくていざとなると怖くなってやめちゃって…。だからあんなにみんなに言われてバカにされても行くって本気で頑張れるのって凄いと思う!』
『じゃあ一緒に行く?』
応援するというキマリを報瀬は試す。次の土曜日、船の下見に広島に行く(因みにここは群馬)。来てくれたら本気だと信じる、と。
逡巡、そして決断。
<私は旅に出る。今度こそ旅に出る!いつもと反対方向の電車に乗り見たことのない風景を見るために。怖いけど…やめちゃいたいけど…意味の無い事なのかもしれないけど。でも!>
待っていたのは一般公開された砕氷艦しらせ。
『赤道を抜け嵐を抜け氷を割り、日本から1万4000km。宇宙よりも遥かに遠い誰も寄せ付けないその場所へ』
見ているこっちにもぶるりと武者震いが走ります。
『どうやって行くつもり?』
キマリのバイト先(看板出ないけどローソン)の先輩(歳は一緒だが高校には行っていない)三宅日向(みやけ ひなた)を加えてトリオを結成しましたが、この3人が揃いも揃って世間知らずな上に計画性ゼロ(体力はある)。残念無念なポンコツトリオ。
『新宿だー!』『キョロキョロするな!群馬だってバレる!』
歌舞伎町で開催予定の観測隊員親睦会会場まで来ましたが、無手勝流の作戦がうまくいくはずもなく…。
既に報瀬は“困った娘”として面が割れており、女性隊員と逃走と追撃のサンバを奏でるハメに。
見事なスプリンター走法で新宿を駆け抜ける日向と思わず笑ってしまうキマリ。
初手を外して次の手無し。八方ふさがりの状況なのに何故か3人ともウルトラポジティブ。負けを負けとも思わない報瀬。逃げながら笑うキマリ(この心境、分かります)。
『あと一息だったもう少しでこのお金受け取りそうだったあと少しで絶対に上手くいった』
『こいつポジティブちゃんだ…』
こういう前しか見ない青春活劇はいいですね。
でも早くちゃんとした司令塔が来ないとどーにもならんぞ、このポンコツトリオ。
まずは3人。しかし意外と近い所に“四人目の適格者”が…。
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