『氷の上に乗り上げるんですか?』
『そう、一度大きくバックして…全力で氷に突っ込んで船の自重で氷を壊す』
『だから砕氷船』
『割れなかったらどうするんです?』
『何度も繰り返す。割れるまで何度も何度も』
戦後、敗戦国日本に割り当てられた南極ルート、それは接岸不可能とまで言われた難路・東オングル。
『”まぁ来れるならどうぞ。来れるならね”みたいな?』
『ムカつきますね』
『でもそれを聞いてみんな燃えたわけよ』
『日本中から募金でお金を集めて造船業者の職人が一生懸命工夫して船を造って…何度も何度も何度も諦めかけては踏ん張って進んだの。
氷を砕くように』
『一歩一歩』『何度も何度も』
何か「地上の星」が流れてきそうな話じゃないですか。
「宇宙よりも遠い場所/STAGE09・南極恋物語(ブリザード編)」
(2018年2月27日/Kang Tai-sik演出)
タイトルは観測隊隊長・藤堂吟に惚れた隊員・財前くんを指していますが、話の枕程度の役割なのでウルトラどーでもいいです(結月『死ねばいいのに』)。
本筋は藤堂と報瀬の確執の決着。南極で行方を絶った報瀬の母・貴子と、隊長としてその捜索を打ち切った藤堂。
互いにわだかまりを感じ距離をとる二人。歩み寄ったのは藤堂(実は似た者同士)。
『変えるには行くしかないんです。お母さんがいる宇宙よりも遠い場所に』
Break the iceには「口火を切る」「打ち解ける」という意味があるそうな。
そして文字通り氷を砕き続ける砕氷船。半径5mまでという条件付きで下りた「上陸」許可。
第一歩を誰が踏む? 『報瀬、先行けよ』と言う日向。促すキマリの手を取る報瀬。
シンガポールでの『4人で行くの!この4人で!』を実践できました。足の下には氷の大地。感極まった報瀬の発した言葉は、
『ざまぁみろ…ざまぁみろ!ざまぁみろ!ざまぁみろ!アンタたちがバカにして鼻で笑っても私は信じた!絶対無理だって裏切られても私は諦めなかった!その結果がこれよ!どう?私は南極に着いた!ざまぁみろ!ざまぁみろ!ざまぁみろ!ざまぁみろーー!』
報瀬さん、最高っす。
後に続く3人。やがて全隊員の口からも。
それは敗戦国日本の矜持、無茶の無謀の言われ続けた民間観測隊の信念、そして馬鹿にされ笑われ続けた報瀬の叛骨。意地で煮締めた魂の叫び。
こんなに熱い罵倒語はありません。
おまけ