“こんなはずじゃなかった”というジャンルがあります(すみません、今作りました)。
忍び込んだらとんでもない家だった、もしくはとんでもない先客がいた、なんてのがソレ。
「壁の中に誰かがいる」「殺人狂」、最近だと「ドント・ブリーズ」。ジャンル分けだけならこれらと同じ箱に入るのですが…。
「逆殺館」
(2016年/アラスター・オア監督)
ダイヤでひと財産築いた富豪の娘を誘拐して身代金(300カラットのダイヤ)をせしめるという計画を立てた4人組。
首尾よくひとり娘キャサリンを拉致ることに成功しましたが、肝心の両親が音信不通、家の中を覗いてみたら、両親と神父の惨殺体が…。
これってひょっとして悪魔祓い大失敗の図? じゃあ悪魔はどこに?(ってそりゃキャサリンに決まっとるやろ)という南ア製ホラー。
綿密な計画を立てて家に忍び込んだので、てっきり家の中のお宝目当てなのかと思いましたが、目的は娘の誘拐。
いやいや、わざわざ自宅に誘拐に行かないだろ、普通。親居るし発見リスク高いし、騒がれたら終りやないか。
当然、娘ゲットしたら即撤収。え~逆殺「館」なのに家が舞台じゃないのかよ。
と冒頭10分で2度かっくり。
身代金要求のために自宅に電話するも誰も出ず。携帯も繋がらず。仕方がないからもう1回に家に確認に…戻らないだろ、普通。娘がいるんだから番号があっているかどうかまず確認しろよ。
で、家戻ったら死体の山と過去のトラウマに起因する幻影がお出迎え。
この時に悪魔祓いやらなんやらの記録ビデオを見つけて真相確認。キャサリンが悪魔憑きであることが判明。
ディープキス兼イラマチオという大人の秘儀。
この悪魔くん、実体を持つために4つの魂が必要だとかで、誘拐犯4人組の内3人(既にキャサリンをキープしているため)を依り代にしようとしますが…ってちょっと待て。
君、結構前からあの家に居座ってかなりの数の犠牲者出してんじゃん。4つの魂なんてとっくに調達できてんじゃないの。
発想は悪くないのですが、見事なくらいツメが甘くテンポが悪く怖くない。いやもう見事にびた一文怖くない。生ぬるいこけおどし(SEドーン!で「わあ、びっくり」)がちろっとあるだけでホラーとしては致命傷。
誘拐犯リーダーのヘーゼル演じたシャーニ・ヴィンソンは「サプライズ」「パニック・マーケット」「パトリック 戦慄病棟」といった作品に主演している“こっち側”の人なのですが、恐ろしく印象薄。
腰砕けのラストまでいい所無しの残念作でした。
★ご参考
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リー・アーメイが!
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リー・アーメイが逝ってしまった…と思ったら、ミロス・フォアマンとヴィットリオ・タヴィアーニも逝っとるやないか。何という事だ。追悼記事は別途。ご冥福をお祈りいたします。