その人に誘われたら断れない。人情の問題ではなく、危機管理の問題として。
サラリーマンであれば誰しも経験していることでしょう。
問題は断った、いや逆らった時に被る不利益、いや制裁の大きさ。
芸能界逆らっちゃ駄目選手権、アジア代表は間違いなくこの人。
天皇巨星ジミー・ウォング(王羽)。
別命Mr.黒社会。倉田保昭先生曰く『あの人は俳優が片手間で本業はヤクザだからねぇ』
そんなジミー先生がぽつりと一言。『ジャッキー、ちょっと来い。あとレオン、アンディ、サモハン、お前らもだ』
4大スター夢の競演(笑)。
「炎の大捜査線」(1991年/チュー・イェンピン監督)
前作(黒社会を巻き込んだジャッキー移籍問題トラブルを手打ちにしてもらったお礼奉公1作目)「ドラゴン特攻隊」でも景気よく「ワイルド・ギース」のテーマを流用(無許可…ですよね)していましたが、今回もリスペクト満開。
というのは余談。お話は…
レオン・カーフェイは刑事。恩師である署長が目の前で殺され、犯人は逃走用の車が爆発して即死・黒焦げ。
現場に落ちていた指から指紋照合した所、犯人は死刑囚、しかも既に刑執行済み。
これは刑務所に何かあるとにらんだレオンは適当な暴力事件を起こして問題の監獄「火焼島」(←原題)に潜入捜査。
そこには子煩悩な脱獄常習犯、サモ・ハンが。更に成り行きで人を殺めてしまったプロ・ビリヤード・プレイヤー、ジャッキーと、ジャッキーに弟を殺された黒社会の若頭・アンディ・ラウが(復讐のため)相次いで入所。
カメラは彼ら個々のエピをじっくり撮影。レオンはいつの間にか「ああ、そう言えばいたね、君。捜査はどうした?」状態でほとんどモブ。
ここに現われる監獄の主、ジミー・ウォング大先生(製作総指揮)。刺青+スカーフェイス。佇まいが“本物”。
レオンの手を燃やす所とか撮影の名を借りたヤキ入れにしか見えません。
話の色合いとしては「暴力脱獄」「暴動島根刑務所」「脱獄広島死刑囚」「ロンゲストヤード」(丸パクリなシーンあり)に連なる刑務所もので大捜査線は彼岸の彼方。
最後にとってつけたようなアクションと無理矢理なオチがついて幕。
暗いわ支離滅裂だわで世評はあまりよろしくない、というかゴミ扱いですが、私は大好きです。