『アレは現実にも夢の世界にも存在していない。狭間にいる。
名前は色々だ。古代ギリシャではモーラ、ペルシャではバクタク。
日本語ではKANASHIBARI。ノクニツァとも呼ばれている。
英語では夢魔(NIGHT HAG)、古い英語ではNIGHTMARE。
人類が夢を見始めた頃から存在する悪魔だ』
ノクニツァ(NOCNITSA/妖婆)と金縛りは似て非なるものだと思いますが、まあ、そんな奴と戦う家族とトラウマ抱えた女医さんのお話です。
「スリープレス それは、眠ると憑いてくる。」
(2016年/ジョナサン・ホプキンス監督)
幼子を亡くしたのをきっかけに家族全員が睡眠障害になった一家。
助けを求めたのは睡眠障害センター。エライ事便利な(都合のいい)施設やなあ、と思いましたが日本にも似たような施設がありました。
こっちでも一家全員が検査入院。ここで担当女医アリスを演っているのがマギーQ。
アリスは幼少期に睡眠障害に陥った弟を目の前で死なせているというトラウマを抱えていました。
この世ならざるモノから家族を守る、過去のトラウマを克服する、かつて魔物と接触して生き残った者が手助けする…お約束はひととおり揃えています。
「ポルターガイスト」をベースに「エルム街」「セル」あたりの要素をかき集めて、最後に派手なシーンを全部とっぱらった感じ。ひたすら地味。
老婆だか何だかが最後まで良く分からない存在なので全く怖くありませんし、ホラー常套のドッキリ演出もないのでこっちの瞼は重くなるばかり。
せっかくマギー出してんだから、彼女の後ろ回し蹴りで除霊とかにしちゃえばオカルトンデモ映画として語り継がれたでしょうが。
久しぶりに“揺れるベッド”とブラックなエンディングが拝めた事が収穫と言えば収穫。
寝不足の方には丁度いい睡眠導入剤です(ド●エルよりは効くと思います)。