閉鎖病棟モノという事で「精神病棟映画選手権」でもやろうと思ったら、このネタは「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」レビューの時に使用済みでした。残念。
「キュア ~禁断の隔離病棟~」
(2017年/ゴア・ヴァービンスキー監督)
ロックハート(デイン・デハーン)はNYの金融会社に勤める野心満々ビジネスマン。
彼に下った役員会の密命。『アルプスの療養所に入ったきり音信不通の社長を今すぐ連れ戻して来い』
飴と鞭をちらつかされたロックハートくんはスイスへ。早速、療養所に赴きますが、面会時間終了を理由に社長に会えず。
諦めて出直すことにしましたが、帰り道、送迎車が鹿と激突。景気良く横転して車は大破。目覚めれば療養所のベッドの上。右足ポッキリ松葉杖。
晴れて療養所の患者となったロックハートくんですが…。
ひたすら水を飲ませる謎の治療。度重なるウナギの幻影。抜け落ちる歯。ミイラのように干からびた患者の死体。何か変だぞ、ここ…。
ジャンル分けすると「ゴシック・ホラー」になりましょうか。アルプスの麓という開けた景観とドイツの古城でロケしたという施設内部の閉塞的な絵面(えづら)がゴシックの誉れを上塗りしています。
ロックハート役のデイン・デハーンが若い時のディカプリオをシャープにした感じなので、「シャッターアイランド」との相似を指摘する人が多いと思いますが、私が最初に思い出したのは「ホテル・スプレンディッド」。
イギリスの孤島に佇むホテル・スプリンディッドも治療目的の長期滞在客がメイン。特別メニューに水治療があり、コックが作っていたのはウナギのゼリー寄せでした。
あと、近しいイメージの作品を挙げるなら「ドクター・モローの島」(おいおい)。
147分という長尺の割には『落しどころそこかい?!』な軽さが残念ですが、画面作りだけは重厚で見応えがありました。