
『決して軍人に言ってはならない。彼らが戦争の代償を知らないなどと』
(Never tell a soldier that he does not know the cost of war.)
正義も義憤も憐憫も判断をくだせない。そのスイッチを押すための。
「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」
(2015年/ギャヴィン・フッド監督)
まずこの邦題決めた奴、前に出ろ。
原題通りとは言えまんまカタカナだと「アイアン・スカイ」と混同するだろ。
「世界一安全な戦場」ってのは、政務次官の台詞「All done from the safety of your chair.」あたりの引用でしょうが、作品の内容をビタ一文伝えておりません。
失格です。
舞台はナイロビ。とある民家。国際指名手配のテロリスト3名の存在を無人航空機MQ-9 リーパーに搭載された高性能監視カメラが捉えた。

カブト虫に擬態した無線カメラで室内を除いたら何と自爆テロの準備が着々と。拘束などと生易しいことを言っている時ではない。今すぐ殲滅しなければ。MQ-9からヘルファイヤーの発射を!

ここで関係者(国の偉い人)の意見が割れる割れる。更に爆破被害想定エリアに民間人の女の子が入って来たからさあ大変。


撃つのか撃たないのか。結果を恐れて判断を躊躇する偉いさんたち。
煮え切らない政治家、少女を目にして「はいそうですか」と発射ボタンを押せない新米兵士、例え少女ひとりを犠牲にしてもテロリスト殲滅を図りたいパウエル大佐。
以前「天使の目、野獣の街」という作品を御紹介しましたが、あれを地球規模でやっている感じ。
心情的には「いいからとっとと撃てやゴラ!」なのですが、もしあの少女が自分の家族だったらと思うとやはり迷います。
どの意見も正しくはないが間違ってもいないと言うのが困った所。

凛々しくも逞しいおば…あいや軍人さんになりました。