『ああいうのは慣れてるから』
『慣れても…何かが擦り減るもんでしょ』
擦り減った先にあるものは…。
「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない/第1話・先輩はバニーガール」(2018年10月6日BS11放送/いわたかずや演出)
梓川咲太(あずさがわ さくた)、高校2年生。過去に暴力事件を起こした(相手を病院送りにした)という噂が広まって危険人物として孤立。
ある日、図書館で野生のバニーガールを発見。
その正体は桜島麻衣(さくらじま まい)。咲太と同じ高校の1年先輩。子役出身の人気女優。ただし、現在は休業中。仕事の関係で途中編入だったためグループの確定したクラスの雰囲気に馴染めず孤立。
何故図書館でバニーガール? しかも周りの人間には麻衣の姿が見えていない?
目が合う咲太と麻衣。
『驚いた…君にはまだ私が見えてるんだ』
周りが自分の存在を知覚してくれない。
この不思議現象「思春期症候群」をすんなり受け入れられるかが本作のキモ。
咲太にはこの怪異を信じる根拠がありました。
クラスでハブられたショックでかまいたちのように全身傷だらけになった妹・かえで。
咲太本人もある朝、ヒグマの袈裟斬りチョップを喰らったかのような傷が(血まみれで病院に。これが病院送り事件の真相。病院に送られたのは咲太自身)。
にしても人間が他者から知覚されなくなるなどという事があるのだろうか。
咲太の恐らく数少ない友人(本人曰く「友達なら二人もいます」のひとり)双葉理央(ふたば りお)は、「観測理論」を紹介する。
『この世の中にある物は誰かが観測して初めて存在が確定するという理論だ』
観測されなくなった人間はどうなるのか?
『あの…桜島麻衣って知ってますか? ほら、朝ドラの子役でデビューしてブレイクした…』
『桜島…?そんな人居ましたっけ?』
知覚だけじゃない。存在そのものがなかったことにされて記憶から消えていく。
まだ先輩の姿が見える。しかし、明日には忘れているかもしれない。
ああ、それで冒頭の日記か。
《これがきっかけで…これが出会い。忘れられるわけがない。忘れても絶対思い出せ…しっかりやれよ》
過去から未来へ。自分へのエールだったのか。ちょっと「負荷領域のデジャヴ」👇を思い出しました。