『グリシャ、今日、お前の息子が…兵士になったよ』
1期3話の伏線を3期11話(通算48話)で回収とは…。
1期でこのエピを3話に持ってきた時は、1~2話の「駆逐してやる!」の流れと勢いを削いでいるような気がしましたが、ここまで用意周到に練られた前フリだったとは。
「進撃の巨人Season3/第48話・傍観者」
(2018年10月7日深夜NHK放送/浅見松雄、安藤健、内田信吾演出)
先週は台風でスキップ。10月期アニメも始まってうっかりしていると周回遅れに。
2週間ぶりの放送はエレン父、グリシャ・イエーガー後半生(壁に辿り着いてから)。
地下礼拝堂でグリシャの記憶の一部を共有したエレン。気になるのは、その映像の中にいた兵団の男。父と共にいたこの男なら何かを知っているはず。
そして、エレン自身もこの男には見覚えが…。
その男は訓練兵団教官にして前調査兵団団長、キース・シャーディス。
いやあ、髪の毛って人相も印象も変えてしまうものなのですね。
グリシャとキース。出会いは壁外。巨人のうろつく壁の外を記憶を失って彷徨っていた男。
覚えているのはグリシャ・イエーガーという名前と職業(医者)。
持つものと持たざるもの。特別でありたいと夢想した凡人と特別な存在であることを定められた男。
見守る者も拍手する部下すらいないキースの調査兵団団長襲名式。かたや多くの人に祝福されるグリシャとカルラ(←酒場のウェイトレス。キースマジ惚れ)。
これで根性曲がらなかったら嘘です。
部下も壁外拠点も失った凡人は失意の矛先をエレンを抱いたカルラに…。
『なぜ凡人は何もせず死ぬまで生きていられるかわかるか!?まず想像力に乏しいからだ!その結果何も成しえずただクソを垂らしただけの人生を恥じることもない!偉業を成し遂げること!いや…理解することすら不可能だろう!そのわずかな切れ端すら。手当たり次第男に愛想を振りまき酒を注いで回るしか取り柄のない者なんぞには…決して…』
嗚呼、キース、最後のそれは言っちゃいかんだろ。そしてカルラ慈愛の切り替えし。
『特別じゃなきゃいけないんですか? 私はそうは思いませんよ。少なくともこの子は…偉大になんてならなくてもいい。人より優れていなくたって。だって、見て下さいよ。こんなにかわいい。だからこの子はもう偉いんです。この世界に生まれてきてくれたんだから』
《そう…凡人は何も成し遂げなかった。私は…何も…何一つ変えることはできない…ただの傍観者だ》
2話でエレンの立体機動装置用ワイヤーに細工したのキースでした。エレンが巨人に喰われたりしないように、平凡で幸福な生活を送れるように。カルラの願いを叶えるために。
しかし、状況を変えることはできず、エレンは兵士に。冒頭の台詞は万感を込めた一言だったんですねえ…。