メキシコとアメリカの国境線。摂氏50度の砂漠。砂と岩、サボテンとガラガラヘビ。
車が故障して砂漠を徒歩で抜けるハメになった密入国者15名。彼らをライフルスコープに収める冷徹なハンターの目。
さあ、狩りの時間だ。
「ノー・エスケープ 自由への国境」
(2015年/ホナス・キュアロン監督)
移民問題がどーしたこーしたな視点がついて回りますがどーでもいいです。過酷な状況で見えない敵に狙われる、というシチュエーションが作りたかっただけでしょう。
であれば、視点は移民側に固定すべきでした。半端に両サイド均等に描いてしまったので、どっちにも全く感情移入できません。
ハンター(ジェフリー・ディーン・モーガン)の得物は半自動小銃スプリングフィールド M1 “M1ガーランド” (制式名称は「U.S.Rifle Cal.30.MODEL1」)。
1936年にボルトアクションのM1903小銃に替わり採用され、1957年にM14小銃が採用されるまで、米軍の主力小銃でした。
上下区別不要・差し込むだけで装填可能なクリップによる素早い装填速度や、照準したまま連続して8発撃てるセミオート射撃能力を誇る優れものです。
これほどの武器と腕(走る移民を遠距離から次々捕捉)を持ちながら、何故か主人公(ガエル・ガルシア・ベルナル)にだけは弾が当たらない。
何度も照準に捕らえながら「そこで外すか?!」の連続。移動ターゲット(走行中の車の助手席とか)を射抜きながら、近距離・停止中の的を外す外す。
マッドマックス2のオーストラリアン・キャトル・ドック並みに有能な猟犬トラッカー
岩場での追っかけとか完全にドリフ。銃を離して岩場登るハンターを上から眺めているだけの主人公もボンクラ大将。石投げつけるだけで落とせるだろう。反撃しろよ。
正直途中からあーもうどっちが死んでもいいや、な感じになりました。