デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

詐欺の佃煮。 ブラッディ・ホワイト 白の襲撃者たち

イメージ 1まずは左のポスター(DVDジャケ)をご覧ください。
 
返り浴びたブラチラナースが二丁拳銃構えてバーン!
 
横には「注射の代わりに銃弾を!!のコピーがダーン!
 
解説には「美しきナースが仕掛ける容赦なき怒涛の襲撃!」だの「何者かに操られ凶暴化したナースは、拳銃を手に悪魔の裁きを下していく! !」だの「息もつかせぬ怒涛のガン・バトル」だの景気のいい単語がズドドドドン。そしてタイトルが、
 
「ブラッディ・ホワイト 白の襲撃者たち」
2015年/ドリュー・ホール監督)
 
白の襲撃者「たち」ですからね。どう考えても“エロと硝煙撒き散らすナース軍団が「今すぐ悔い改めて十字を切りやがれ!」な啖呵と共に死体の山を築いていくC級アクション”だと思うじゃないですか。
 
全部嘘です。詐欺の佃煮。1点正しい箇所を挙げるとしたら「確かにこの女優さんはナースコスで出てきて拳銃を撃つ」という事ぐらいでしょうか。
 
←オリジナルのポスターはこちら。
 
原題は「CONVERGENCE」。意味は収束・収斂。散りばめられた謎が最後にひとつにまとまっていくという作品の構成を指しているものと思われます。
 
キャッチコピーは「WHERE THE PATH TO HEAVEN MEETS THE ROAD TO HELL」。天国への道が地獄への道と出会う場所。
 
ミレニアムを目前に控えた1999年のアトランタ
 
連続爆破事件の現場を捜査中の刑事ベン(クレイン・クロフォード)は、仕組まれたセカンドボムに巻き込まれて重症。
 
病院のベッドの上で目覚めたものの、付き添いの上司は事件のこと詳しく教えてくれないし、妻に電話を掛けても繋がらない。
 
だだっ広い病院には他の患者(入院も外来も)の姿がなく閑散。いや患者どころか医者もいない。
 
かろうじて看護婦ひとりと警備員ひとりに出会えたが警備員は何者かに撃たれて虫の息。上司と看護婦に伝えて戻ってみれば警備員の姿無し。
 
犯人は誰だ? あと病院内のあちこちで見る黒い霧のような人影は何だ?
 
という「どこがガン・バトルやねん?」な立ち上がり。すれっからしのホラーファンならこの時点で「実はお前ら全員死んでるだろ?」と思うでしょう。
 
実際その通り(つまりこの病院はAngel Beats!の天上学園なのですよ)なのですが、本作はとっととその事実を観客に突きつけた上で、更に二転三転させる展開の妙を見せます。
 
お色気アクションという間違った先入観を持たずに、癒しと赦しのオカルトサイコホラーとして観れば結構な拾い物かもしれません。
 
売る為の方便とは言え、罪なことをするものです、トランスワールドアソシエイツ。


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