悪霊に憑依された人間の精神世界に入り込み、これを祓う。
科学の力で悪霊に挑むエクソシストと言うと新機軸のようにも見えますが、要するに「サイコダイバー(@夢枕獏)」だろ?と思うと一気に色褪せてしまいます。
(2016年/ブラッド・ペイトン監督)
ドクター・セス・エンバー、職業エクソシスト。悪霊マギーに家族を奪われ、自身も車椅子生活に。以来、マギーを追い求めている。
エンバーに送られたバチカンからの密使。
11歳の少年が悪霊に憑依された。相手はどうやらマギーらしい。
エンバーは実生活では車椅子でロン毛・髭モジャのむさいおっさんですが、精神世界では歩行可能で短髪のこざっぱり親父。
精神世界は悪霊が見せている憑依対象の望む夢の世界。
夢邪鬼(@うる星やつら2)が紡ぐ夢の世界に「ザ・セル」のジェニファー・ロペスのように潜入して、相手にこれは夢であることを自覚させて現実世界に連れ戻す(=祓う)というお話です。
折角、何でもありな夢の世界なんだから、もっと物理法則を無視した戦いをすればいいのに、エンバーが二足歩行する以外は現実と大して変わらないのがちと不満。
サイコダイヴ中、エンバーは仮死状態(ダイヴのタイムリミットは8分)なのですが、この時に物理的に襲われたらどうするのでしょう。
一応、ダイヴ中は憑依対象と脳波がシンクロしている、という説明はあるのですが、何か釈然としません(黙ってシンクロされちゃう悪霊ってどうよ?)。
次々に憑依対象を乗り換えるというのも「悪魔を憐れむ歌」(大成功例「ヒドゥン」、大失敗あいや大暴走例「ジェイソンの命日」)で使い古されているので新鮮味ゼロ。
カラス神父丸パクリなクライマックスとC級鉄板なオチも効果的とは言い難く、完成から公開まで3年塩漬けだったのも頷けます。
ネタは全部使い回しですが、逆に言えば“下手に挑戦して玉砕”な要素が無いので、飽きずに終りまで観ることはできます。
時間つぶしには最適の1本。