
『何を怖がっているんですか? もしかして私が先輩のこと嫌いにならないか心配してるんですか? 約束したでしょ。私は先輩のそばにいるし劇だって手伝うし他の人を好きにならないし先輩のことを好きにも嫌いにもならない。ちゃんと守ってるんだから先輩も信じてください!私のこと!』
道路が止まれといっている。

『このまま帰ってまた何日も会えなくなるのは嫌です…』
それはもう好き。地雷なのは承知の上。
『今、(侑の)部屋に行ったら…かなり…すごく甘えちゃうと思うんだけど…大丈夫…?』
『…いいですよ』
「やがて君になる/第12話・気が付けば息もできない」
(2018年12月21日深夜BS11放送/渡部周演出)
AパートBパート通しのサブタイは1話以来。
自分が求める姉の姿はひとつではなかった。目標を見失ってしまったまま演劇合宿を終えた燈子。
軽いアイデンティティクライシスに陥った燈子を自室に誘う侑(勝負に出ました)。

燈子は自分が嫌い。自分が嫌いと思うものを好きだという人を好きにはなれない。だから侑に自分を好きにならないでと求める。侑を好きで居続けるために。
いやあ、ホント面倒くさい女です燈子。
侑が燈子を好きと言える条件はただひとつ。
燈子が現在の燈子自身を好きになること。そのきっかけにできるのは生徒会劇しかない。なら今の結末では駄目だ。
記憶を失った少女が、複数提示された過去の自分からひとつを選んでその人格になる。それは昔の自分を基準に決めただけで、現在の少女の意思じゃない。
『舞台の幕が上がって下りるまでの間 観客が見てきたのは今の主人公でしょ?記憶があった頃の彼女じゃなくて。なのに過去を基準にして結末を導くんじゃまるでこの劇の時間に意味がなかったみたいだ…』
こよみの家に駆け込んで、結末変更提案をぶつける侑。
『そっか、引っかかっていたのはそこか』
こよみの中で次々にピースが繋がっていく。創作の醍醐味。
『ありがとう侑。なんで結果に違和感があったか分かった気がする』

『ありがたいんだけど悔しいんだよ!どこを直せばいいか自分で分かりたかったの!顔まで取り繕っている暇はない!』
この時の楠達矢プロデューサーのツイート『この修正に納得しつつ納得しきれないで怖い感じ、誰かに似てる。すごく知ってる。ほぼ毎月相手にしてる』に滅茶苦茶笑いました。
さて、叶“花田”こよみの選んだ結末とは。次回最終回。

