《お前はみんなを守り自らを勇者だヒーローだと連呼することで周囲から賞賛を得たいだけなのだろう》
「マトリックス」が公開された時、『ここは現実ではない、仮想空間だ。我こそはNEO。抑圧された人民を解き放つ救世主だ!』という妄想(使命感?)に駆られて、エージェント(と勝手に思い込んだ人)を殺しまくった馬鹿が世界中で沸き出たそうです。
おかげで「マトリックス」は現実と妄想の折り合いをつけるため、爽快感の極北を行くつ~まらないシリーズになってしまいました。
ここにもひとり、中二をオーバーランした救世主妄想(メサイアコンプレックスと言うそうな)に憑りつかれた哀れな青少年が。
「revisions リヴィジョンズ/Case 06・だって、人だから…」
(2019年2月13日深夜放送/平川孝充演出)
何となくアスカが使徒の精神攻撃を受ける「せめて、人間らしく」を思わせるタイトルですね。
ミロに『あまりに愚かだ』と言われても、戦っている相手が実は人間(の成れの果て)だと分かっても、“我こそは救世主”の信念揺らがず更なる増長を続ける大介。
独断専行・命令無視でストリング・パペットを動かした大介の前にアーヴもリヴィジョンズも関知しない謎の個体が。
大介に向かって送られてくる信号を解析し言語変換すると…
《堂島大介は元の時代に戻る気はない。英雄として約束されたこの時代にいつまでもいたいのだ。何が仲間だ。心の中では自分より劣っていてほしいと願っているくせに。元いた時代では何一つ敵わないのだから。無能な空回り。堂島大介は一人ぼっちだ》
抉る抉る。動転した大介はライフル誤射してビル損壊。降り注ぐ瓦礫に怪我人続出。遂には両腕をもぎ取られて大惨敗。そのまま留置所にGO!
ここまでされても選ばれし者の信念揺るがず(普通、折れるだろ、心が)。最早鋼のメンタル通り越してただの狂信者。
校舎屋上で大介を見捨てた女教師は、体使って大介に接近。
人殺しはできないとストリング・パペット搭乗を拒否したまりまりは意思決定を大介に委ね…。
『だから言ってよ大介…ストリング・パペットに乗ってくれって…。大介が言うなら…そしたら私…私…』
その告白にも似た激情を間近で聞く(まりまりLOVEな)慶作の心境は…。
さらけ出すエゴ、がぶり寄る依存。
リヴィジョンズに拉致された人間の中でただひとり脱出に成功した大介の叔父・堂嶋幹夫。
怪しい。あからさまに怪しい。本人かコミュニケーションボディか、スパイかデコイか斥候か。