デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

迷惑千万なご神託。 ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷

f:id:zombieito:20200114134120j:plain

マクベスから芸能人、一般市民に至るまで。

「魔女・預言者(現代に於いては霊媒師、呪術師、教祖)」の言葉を真に受けて常識外れの行動に出ちゃった人は枚挙に暇がありません。

実業家ウィリアム・ワート・ウィンチェスターの未亡人、サラ・ウィンチェスターもその一人。

ウィンチェスター…そう、「西部を開拓した銃」として名高いレバーアクション・ライフル「ウィンチェスターM1873」を生み出したあのウィンチェスターです。

その二代目ウィリアムは1866年に愛娘を生後一か月で失い、1881年には自らも他界。

夫と娘を続けて失った未亡人サラはテンパリまくって霊媒師に相談。ご神託は…

『お前の会社が作った銃で殺されまくった人々の霊が復讐の機会を狙っている。呪いじゃ!今すぐ家を出て西へ行け。そこで彼らの霊を慰める家を建てよ。決して建築の手を止めてはならぬぞよ』


迷惑千万(笑)。

サラはコネチカット州からカリフォルニアへ移住。1884年から1922年に死ぬまでの38年間、24時間365日休むことなく増改築を繰り返し、無秩序に膨れ上がった化け物屋敷を作り出します。

f:id:zombieito:20200114134421j:plain


この奇怪な屋敷を人々はこう呼びました。

"The Most Haunted House in America"アメリカで最も呪われた屋敷、と。

ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷(2018年/ピーター・スピエリッグ&マイケル・スピエリッグ監督)

観光名所として実在する「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」を題材にしたオカルト・ミステリー。

昼夜を問わず悪霊ホイホイな家を作り続ける大株主サラ(ヘレン・ミレン)の奇行に業を煮やしたウィンチェスター社経営陣は、『あの婆、精神鑑定して株もぎ取っちゃる』大作戦を敢行。

派遣されたのは私生活で色々あってサラ同様テンパリまくっている精神科医エリック・プライス(ジェイソン・クラーク)。

『恐怖は頭の中だけにある』と豪語して屋敷に乗り込んだエリックでしたが、着いた早々この世ならざる者の歓待を受け…。

実在のホラースポットが舞台(しかも家モノ)なので正統派ゴシック・ホラーを期待していたのですが、

  1. 家は結局セット(作りが複雑かつひとつひとつの空間が狭いのでカメラを持ち込めず、オーストラリアにセット組んで撮影)。
  2. ドン!わーびっくり!なコケ脅し演出が多く、求める怖さからは1万光年。


の2点が災いして今ひとつふたつみっつな仕上がり。

それでもポスターガイスト祭りと1906年サンフランシスコ地震を合わせ技にしたクライマックスはそこそこ派手で見応えがありました。

サラと同居している姪マリオン役でセーラ“ジェサベル”スヌークが。

このお屋敷が複雑怪奇な構造なった原因は、武家屋敷・忍者屋敷のような裏道・抜け道・回り道があることに加え、「建築計画が存在しない(行き当たりばったりに増改築を繰り返している)」事があるらしいのですが、その(映画的)理由が明示されておりました。

サラを依り代に悪霊が憑依して「自動書記」のような形で次に作る部屋のデザイン画を描かせていたんですね。

f:id:zombieito:20200114134630j:plain


真偽はさておき、絵的にはいい解釈だったのではないかと思います。

機会があれば覗いてみたいですね。本物のウィンチェスターハウスを。

 

★ご参考

①最近のヘレン・ミレンと言えば… 

mandarabatake.hatenablog.com

 

②スピエリッグ兄弟と言えば… 

mandarabatake.hatenablog.com

 

③セーラ・スヌークと言えば… 

mandarabatake.hatenablog.com

  

mandarabatake.hatenablog.com

 

f:id:zombieito:20191228104234g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。


 

ネジ締め忘れたゴシックホラー。 ダーケスト・ウォーター

f:id:zombieito:20200112134159j:plain

家モノ(特に年季の入った洋館モノ)は大好物なのですが、やはりそれなりの工夫は必要。雰囲気だけで押しきられるのはちょっと…。

「ダーケスト・ウォーター」

(2017年/ブライアン・オマリー監督)


1920年アイルランド。広大な土地(湖含む)の中に佇む邸宅。住んでいるのはレイチェルとエドワードの姉弟ふたりだけ。

この館で暮らすに際してのルールは3つ。訓えはマザーグースのような歌に乗せて先祖代々親から子へ…。

  1. ♪0時の鐘が鳴る前にベッドに入りなさい。
  2. ♪よそ者を家に入れてはなりません。
  3. ♪ふたりは離れてはいけません。


歌の締めくくりは♪ふたりのが私たちだけのものである限り、わたしたちは下から見守ることでしょう

一種の契約信仰ですね。ある意味「悪魔の手毬歌」以上に恐ろしい内容です(特に〆の部分)。

ルールを守っているうちは守ってやる(と言うか生かしておいてやる)。しかし、もし破ったら…。

f:id:zombieito:20200112134447j:plain


ふたりの両親は1年前に湖で入水自殺。その両親も。そのまた両親も…。

エドワードは神経病んで家から一歩も出られない引きこもり。

姉レイチェルは兵役から(片足失くして)戻ってきた雑貨屋の息子ショーンと駆け落ちを画策しますが…。

初期設定はまずまずです。邸宅も実在する年代物を使用しているだけあっていい雰囲気。

でもそれ以外が壊滅的に駄目。ランニングタイム93分ですが、マトモに撮れば30分で終わります。

何故、先祖代々呪いに縛られているのか、何故、最後には皆入水自殺(ふたりの両親に関しては無理心中)を選んでしまうのか。個々のルールを破るとどのような災いが起きるのか。何の説明もありません。

最後の方で床下(鏡に映したような屋敷が水没している)から、変な人たち(ご先祖様軍団?)がわらわらと湧いて出ますが、こういう裸で黒目で這って来るタイプはおなか一杯ノーサンキューです。

f:id:zombieito:20200112134544j:plain

よみうりランド/近藤玲子「水中バレエ劇場」…ではない。


重力を無視した水の描写とか凝っているつもりかもしれませんが、こんなの40年以上前にタルコフスキー「鏡」でやっているしなぁ。

この手のオチって「愛は呪いを砕く」なお花畑エンドか「それで勝ったと思うなよ!」なバッドエンドの2択だと思うのですが、本作は「なんじゃそりゃそりゃ」な反則エンド。うーむ、それで済むならとっとと…。

お話のモチーフは「アッシャー家の崩壊」らしいのですが、だったらこの屋敷使って「アッシャー家~」作ってくれた方が良かったかな。

ちょっと「仄暗い水の底から」とか、伊藤潤二コレクション「橋」に似た手触りもあって、色々惜しい作品ではありましたが、やはりゴシックホラーとしてはネジの締め忘れが目立つ失敗作だと思います。 

★ご参考 

mandarabatake.hatenablog.com

 

f:id:zombieito:20191228104234g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。

 

-----------------------------------------------------------------------

 ★本日1月24日は「ボーイスカウト創立記念日
1908年(明治41年)のこの日、イギリスでボーイスカウトが結成された…んだそうです。
ボーイスカウトと言えば…

mandarabatake.hatenablog.com

 

 

【貴族の願望】ザ・リトル・ストレンジャー【平民の妄執】

f:id:zombieito:20200116132555j:plain

その家に漂い棲まうは幽霊か、残留思念か妄執か。

家モノゴシック・スリラーの皮を被った没落貴族もの。

「ザ・リトル・ストレンジャー

(2018年/レニー・アブラハムソン監督)

 

1948年.英国の片田舎ウォリックシャー。

領主館ハンドレッドホールにかつての輝きはなく、荒れ放題。

住んでいるのは、エアーズ家の貴族3人とメイドというよりはお手伝いさんと言ったほうが似つかわしい経験浅い少女がひとりの計4人。

体調崩したメイドの診療のため館を訪れた医師・ファラデー。彼にとってハンドレッドホールはかつて母がメイドとして働いていた繁栄の象徴。

f:id:zombieito:20200116132813j:plain


平民が足を踏み入れる事すら叶わなかった少年期、1919年の憧憬。

ファラデーは傷痍軍人として戻ってきた当主ロデリックの治療をしているうちに、フレデリックの妹・キャロラインに惹かれていくのですが…。

f:id:zombieito:20200116132750j:plain

  ダンスホールで踊るファラデーとキャロライン。
  本当に楽しそうで見ていて頬が緩みました(ちょっと「天国の門」っぽい)。
  ダンスを楽し気に、食事を美味し気に撮れる監督さんには才能を感じます。


この文芸小説のような語り口に突然挿入される怪異。

それは幼くして死んだ少女(ロデリック、キャロラインの姉)スーザンの呪いなのか。

呪い。霊魂。ポルターガイスト。そう捉えるのが一番分かりやすくはあるのですが、そう簡単に納得させてはくれません。

怪異の数々の目撃者は常に当事者ただひとり。

f:id:zombieito:20200116133008j:plain

何気にシャーロット・ランプリングとかも出ています。

 

一部を除く全てのシーンに鏡を配し、すべてを合理的に説明できる(幽霊ではなく当事者の妄想もしくは勘違いという)余地を残した「シャイニング」のようです。

妄想、自傷、第三者の犯罪の可能性(あるいは生者の思念)。

館から連れ出してもらう事を意識の外で望んでいたキャロライン。

憧れの地に仲間として受け入れてもらう事を願ったファラデー。

観測されることで実体化する怪異と診断されることで存在が確定する疾患。

真意も原因もすべてが曖昧な膜につつまれたままドラマは幕を降ろします。

私はファラデーにバリー・リンドンを重ねながら観ておりました。

館に巣くっていたのはファラデーの妄執だったような気がします。

 

f:id:zombieito:20191228104234g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。

 

男には2種類しかない。プロか、馬鹿か。 追悼:宍戸錠

f:id:zombieito:20200121220849j:plain

『俺の名はエースのジョー。生まれながらの殺し屋さ。銀の弾丸を、歯の無い口に咥えて生まれてきた。忘れたって言うんなら、いつだって思い出させてやるぜ。いつだって、この黒いコルトでな』

(「アゲイン AGAIN」)


俳優、宍戸錠氏がお亡くなりになりました。

1月21日(発見日)。死因非公開。86歳。

出演作が多すぎて人によって代表作は様々だと思いますが、印象深いのはこの2本。

 

mandarabatake.hatenablog.com

  

mandarabatake.hatenablog.com

 
そして、

mandarabatake.hatenablog.com

 

辰っつぁんがいて松方の兄貴もいて、あっちの世界も結構賑やかそうです。

先に逝った皆さんによろしく。ご冥福をお祈りいたします。

 ※ちょっと気が引けますが「黒歴史」もひとつだけ。

mandarabatake.hatenablog.com

 

 

f:id:zombieito:20191228104234g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。

 

------------------------------------------------------------------
★本日1月22日は「飛行船の日」。 

  1916年(大正5年)のこの日、大日本帝国陸軍の軍用航空船「雄飛(ゆうひ)」が所沢~大阪で実験飛行をしたそうです。

 飛行船と言えばこれしかないでしょう。

mandarabatake.hatenablog.com

 ※このネタ、9月20日の「空の日」でも使ってるな…。

 

【ひかりの霊圧が…消えた】ライフル・イズ・ビューティフル #12【ついでに2019アニメ私的総括】

f:id:zombieito:20200120121628j:plain

途中「総集編」を挟んだために放送予定がズレ込み、本来12月に終わっているべき最終回がこんなところに飛ばされてしまいました。

これでようやく2019年が幕を閉じます。

「ライフル・イズ・ビューティフル/第12話・ファイナル・イズ・ビギニング」(2020年1月18日深夜BS11放送/高橋正典演出)

団体戦(千鳥高校全国2位の快挙⦆が終わって、エア含む個人戦を残すのみとなった全国高校ライフル射撃選手権。

一気に時間軸を飛ばして日常描写をしつつ、賞状や記念写真とかで結果を匂わす「タッチ方式(もしくはクーガ方式)」にするかと思いましたが、きちんと地続き最終回にしてくれました。

f:id:zombieito:20200120121811j:plain
個人戦ファイナル進出を目指して気勢をあげる県代表5名。

団体戦で瞬間大会記録を打ち立てたひかりでしたが、個人戦は(ドラマ的には)まさかの(実力的には順当な)大惨敗。

f:id:zombieito:20200120121934j:plain


優勝は峰澄高校・小々森 真帆(こごもり まほ)。
順当です。

大一番を乗り切った上での俺たたエンド。爽やかな紛れでした。

f:id:zombieito:20200120122010j:plain

まさか最終回で新キャラ投入(しかも実力者だった)とは!?

✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵ 


さて、折角なので2019年1月~12月アニメの私的総括を。

2019年は期待と結果の乖離が大きい年でした。

特に異世界もの(転生以外も含む)。素材は良いのに展開が駄目駄目。

異世界チート魔術師」も「通常攻撃が(中略)お母さんは好きですか?」も「うちの娘(以下略)」も「私、能力は平均(以下略)」も、立ち上がりは素晴らしかったのに、話が本題に入った途端『う~ん、どーでもいいな』という気分になって惰性視聴に(「荒野のコトブキ飛行隊」がギリセーフ)。

流石の貫禄だったのは進撃の巨人 Season3 Part2」ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ」の2本。終盤までグイグイ引っ張ってくれました。

貫禄という意味ではデート・ア・ライブⅢ」も。

とある科学の一方通行」は後半失速して残念無念。

個人的お気に入りBEST5(順不同)を挙げるなら、

  1. 「まちカドまぞく」
  2. ダンベル何キロ持てる?」
  3. 「女子高生の無駄づかい」
  4. ぼくたちは勉強ができない(但し、2期最終回のCパートを除く)」
  5. 「ライフル・イズ・ビューティフル」


でしょうか。

次点としてドメスティックな彼女「なんでここに先生が!?」のテイスト真逆な禁断マイ・ティーチャーものを入れておきます。

全部高校生ものか…これはこれで人として問題のあるチョイスのような…ま、いいか。


さて、2020年はどんなラインナップになるのでしょう。

とりあえず「進撃の巨人 Final Season」と「ダンまちⅢ」と「やはり俺の青春ラブコメは間違っている。完」に期待します(「Re:ゼロ」の2期に食指が動かないのは何故だろう)。


★ご参考 

mandarabatake.hatenablog.com

  

mandarabatake.hatenablog.com

  

mandarabatake.hatenablog.com

  

mandarabatake.hatenablog.com

 

 

f:id:zombieito:20191228104234g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。