2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧
やはり初めて演出したシリーズには愛着があるのでしょうか。前作で「仕置人」系音楽を鳴り響かせた工藤栄一に対して深作欣二は「仕掛人」系音楽をかき鳴らします。「必殺4/恨みはらします」(1987年/深作欣二監督)工藤監督がハードボイルドなら、深作監…
日本初のスプラッター(怪談という日本土着の恐怖と一線を引く、ちょっと洋風血飛沫祭り)という肩書きは本当です。でもなあ。お手本にしていると思われる「サスペリア」から11年、「サンゲリア」から9年、「死霊のはらわた」から5年(日本公開からは3年…
自分の娘を一度ならず二度までレイプした上に○○させてしまう・・さすが変態監督、見事な愛情表現です。 「スタンダール・シンドローム」 (1996年/ダリオ・アルジェント監督) ローマで起きた連続レイプ殺人事件を追ってフィレンツェに来た女刑事アンナ(ア…
もしこれがマトリックスの世界観の中で起きた事なら許せます。もしくはテロリストと刑事が実はハイランダーだった、というオチなら理解できます。あるいは主人公が世界征服を企む悪の秘密結社に改造されたバッタの(以下略)。でもよう、生身の人間がこれや…
『助太刀無用!助太刀無用!』武士の信念も侍の矜持もお家の事情と体面の前では、ただの見世物。テーマや時間軸を縦横無尽に行き来する(そのくせ全く混乱しない)構成など、「切腹」との共通点は多々ありますが、過剰に饒舌だった「切腹」に比べ、本作はソ…
南ネシア元大統領の靖国参拝、護衛するジュラルミンの盾、突入するデモ隊。 遠景に大村益次郎、バックに大鳥居を配して、奥に機動隊、手前にデモ隊。 更にカークラッシュ、テロリスト射殺・自爆。 よく撮れたなぁ、こんなシーン。 「豹(ジャガー)は走った…
Starpulse.comって所が、映画史上最も印象に残った刑事7人(7 of The Most Memorable Cops in Movies)を発表しました。栄えある1位はハリー・キャラハン(ダーティ・ハリー)。以下、ジョン・マクレーン(ダイ・ハード)、マーティン・リッグス(リーサル…
レスリー・ニールセンという名前を聞いて、「ああ、禁断の惑星のアダムス機長ね」とか「ポセイドン・アドベンチャーのハリソン船長だろ」という人は最早いないでしょう。ニールセンと言えばLA市警の英雄にして厄ネタ、フランク・ドレビン警部。生涯の当た…
張っている。漲っている。滾っている。空気が。想いが。怒りが。武家屋敷中庭での語りと回想という静的構成にも関わらず、何と言う豊かな奥行き。135分の長丁場を一瞬もダレずに画面に喰い入らせる脚本の妙(橋本忍!)。言い淀んだら負けとばかりに吟遊詩人…
飛行系・滑空系の私的ベスト・ショットは「カプリコン1」の農薬散布セスナ、「風の惑星/スリップストリーム」のグライダー、そして本作。 「スカイ・ライダーズ」 (1976年/ダグラス・ヒコックス監督) 所はギリシャ。米国人実業家の妻子をゲリラが拉致。…
おっと、いけねぇ、一杯あったジグゾーパズルのピースが混ざっちまった。 ま、いいや、使えそうな奴だけ適当に組み合わせて・・お、何かそれらしい絵になってきたぞ。じゃ、足りないところだけ自分で作って・・出来た! そんな映画です。 「ハリウッド・ブル…
菅貫太郎(すがかんたろう)。日本に悪役数あれど、この人くらい馬鹿殿・悪代官が板に付いた役者さんはいないでしょう。テレビの時代劇でこの人が出ていないシリーズなぞ存在しないのではないかとすら思えます。白眉は「十三人の刺客」の松平左兵衛督斉韶(…
フランスが舞台のスペイン映画で英語吹き替え、何故か所々にドイツ語の字幕が入る・・散逸していたフィルムを発掘・編集した発売元の苦労が偲ばれます。にしてもよく発売にこぎつけたな。偉いぞ、エプコット。「ザ・ソンビ/黒騎士のえじき」(1973年/…
接近。激突。一瞬で砕け散るフロントグラス。氷雨の如く舞い散るガラスの破片とそれを見つめる瞳。モリコーネの美しい旋律に乗って超ハイスピード描写されるクラッシュ・シーン。甘美とも言える死の瞬間。こんな素晴らしいシーンを観て尚、脚本がぁとか辻褄…
メジャー系ホラー・アイコンの中で最も思い入れの無いキャラ、それがフレディ・クリューガーです。理由は色々ありますが、やはり“ファッション・センスの無さ”と“お茶目な性格”が怖さを相殺してお笑いにしちゃってるからだと思います。なので、オリジナルに…
一発オチの短編をよもやここまで膨らませるとは。 努力と苦労と工夫は買いますが、ちょっと風呂敷の広げ方を間違えとりゃせんか? 「運命のボタン」(2009年/リチャード・ケリー監督) 見た目は裕福そうですが内実は一杯一杯の夫婦(キャメロン・ディアス&…
脚本:佐々木守、監督:実相寺昭雄、特技監督:大木淳、ゲスト女優:桜井浩子と言えば、封印作品「遊星より愛をこめて」のカルテッドですが、全く同じ顔ぶれで作られたのが、 「怪奇大作戦/第4話・恐怖の電話」 (1968年10月6日放送/実相寺昭雄監督) す…
『吉野、君も科学者なら俺の話を聞け』 『科学者? 科学者が何をした? 原爆や水爆を発明しただけじゃないか』 『そうかもしれん。しかし、君のやり方は・・』 『間違っていると言うのか? 間違っているかもしれない。しかし、俺がやらなかったら一体誰が京…
この世の見納め“生首目線”と言えば「吐きだめの悪魔」の右に出るものはありませんが、本作の生首目線もなかなか。 首を離れ、階段を転がり落ちるカラス神父さながらに天と地を交互に仰ぎ見る刹那の視線。 やはり、このシリーズ、只者ではありません。 「子連…
ゾンビ映画にありがち(と言うより一種のお約束になっている)ゴアシーン一切無し、にもかかわらず、全体を嫌ぁな雰囲気が霧のように包み込んでいます。気配、佇まい、空気・・。アメリカ映画ですが、手触りは完全にヨーロッパです。 「メサイア・オブ・デッ…
馬鹿映画と割りきって観ても、これだけアラまみれだとどこから突っ込んで良いやら。 過去のそれらしい絵柄を寄せ集めて大風呂敷で包んだハリボテ映画です。 「レギオン」(2010年/スコット・スチユアート監督) お話は壮大。 人類を見限った神が人類殲滅の…
『おめえば、やっぱり三味線ば弾く人だ』 『・・定蔵!三味線ば持て!』 一度手放した(棄てた)ものを再び手にする・・あらゆる物語に通底する鉄板の通過儀礼。高橋竹山はこうして生まれました。 「竹山ひとり旅」(1977年/新藤兼人監督) 幼くして半失明…
特に期待をしていた訳ではないですし、駄目であろう事は予測していました。 でも観てみたら案外「思っていた程酷くはないじゃん」、ってな所に落ち着くのではないかと勝手に想像していたのですが、甘かった。 もう怒りで全身がワナワナと・・。半端な擁護は…
団鬼六先生がお亡くなりになりました。5月6日。食道癌。79歳。鬼六先生と言えば情念の緊縛。にっかつで制作されたロマンポルノの数々は学生時代大変お世話になりました。本来なら、谷ナオミ、麻吹淳子、倉吉朝子、高倉美貴といった女優に絡めたお話をす…
復讐の連鎖は何も生みはしない・・などという牧師の安説教並みの教訓しか本作から読み取れない人間が多いのは何故でしょう。復讐者は己の行く末を知ったら復讐を止めるのか? そんな事で止められる衝動なら初めから何もしないでしょう。連鎖を云々するのであ…
1977年、大晦日。紅白歌合戦。1曲の歌が日本中の団欒を凍りつかせました。 ♪ あたしの心の深い闇の中から おいで おいで おいでを する人、あんた誰!? 髪振り乱し絶叫するちあきなおみは完全にホラーでした。 そしてこの曲「夜へ急ぐ人」を作詞・作曲した…
以前、百貨店販売員の接客応対を仕込みの客を使って記録するというスパイ活動(勿論仕事。一般的にはマーケティングと言う)をしていた事があります。 その時使っていたのが超指向性集音マイク、所謂“ガンマイク”です。 今のように通販で何でも買えるという…
中村主水が斬る!ズタボロになりながら斬る!殺陣の質はちょっと難有りですが、セコ突き主流の主水が正面から大立ち回り、机龍之介ばりな死体の山を築くハードボイルド時代劇。「必殺!Ⅲ 裏か表か」(1986年/工藤栄一監督)一斉捕り物・捕縛シーンにタイト…
無宿人狩りの発布とその検挙風景に合わせてのタイトル・クレジット。まんま「大殺陣」で、セルフリメイクかと思わせるオープニングですが、残念ながら「大殺人」にあったカミソリのような緊張感は皆無。「影の軍団 服部半蔵」(1980年/工藤栄一監督)上(か…
高校時代(映研でした)、宣伝用に配給会社から分けてもらったポスターの中に一種異様なデザインのものが。 白地に荒れたドットのガサガサしたシルエットはどう見てもホラー。しかも、タイトルが、 「死神の骨をしゃぶれ」 (1973年/エンツォ・G・カステラ…