飛行系・滑空系の私的ベスト・ショットは「カプリコン1」の農薬散布セスナ、「風の惑星/スリップストリーム」のグライダー、そして本作。
「スカイ・ライダーズ」
(1976年/ダグラス・ヒコックス監督)
所はギリシャ。米国人実業家の妻子をゲリラが拉致。身代金は500万ドル(正確には500万ドル分の武器弾薬)。
現夫のロバート・カルプと元夫のジェームズ・コバーンが共同戦線。
通常、この手の設定だと現夫が嫌な奴だったり、新旧夫が争ったりという見たくもない修羅場が用意されているものですが、本作ではそんな描写は潔く割愛。
ロバート・カルプは結構いい奴だし、お互い信頼している感じが心地良い。
軍警察の人が“頼りない上にちょっと嫌な奴”の役を押し付けられていますが、結局最後は独断先行したコバーンを労わったりしているので、基本、いい奴です。
アジトがメテオラ山中の断崖絶壁にへばりつく修道院跡と知ったコバーンは、ハング・グライダーのサーカス団に押しかけ入門(無茶するなあ)。
短期間で技修得、のみならずサーカス団のメンバーを仲間に引き入れて空からの夜間奇襲攻撃を敢行(無茶するなあ×2)。
月明かりだけを頼りに次々崖から飛び出すハング・グライダーが壮観。岩を、絶壁をすり抜けて目指すアジトへサイレント・アタック。
長男出産直後に離婚しているので、成長した息子がコバーンを識別できず「おじさん誰?警察の人」なんて言われちゃうのが悲しい。
『どうやって脱出するの?』
『飛ぶのさ』
『(まだ小さい娘に)飛ぶのよ。ピーターパンのように』
現夫&軍警察連合軍が地上から脱出を援護(ただの警察ではないのでマシンガン、手榴弾使いたい放題)。
新旧夫のサンドイッチ・ラブ。女冥利に尽きるだろ、スザンナ・ヨーク。
※参考:「ようし、ティンパニ持って来い!カプリコン1」→2008年12月1日
「滑空する哲学。風の惑星/スリップストリーム」→2011年1月28日