デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

消化不良のちゃんこ鍋(でも嫌いじゃない)。 オフサイド7

突然、こういう作品の“蔵出し”があるので、ケーブルは侮れません。 「オフサイド7」(1979年/ジョルジ・パン・コスマトス監督) 第二次世界大戦時、ナチ占領下にあるギリシャの小島。連合軍捕虜収容所で一瞬「大脱走」の香りが(エリオット・グールドの「…

この題材で怖くないって…。 シャッター

心霊写真という“音”だけで嫌ぁな感じのする(しかも日本のお家芸的な)題材を扱っておきながら、この恐怖感の無さはなんじゃらほい。「シャッター」(2008年/落合正幸監督)仕事と新婚旅行を兼ねて日本に来たアメリカ人夫妻(旦那の仕事はカメラマン)がエ…

落ちてない? いや、落ちてますよ、綺麗に。 トラフィック

“話が落ちてない”、“いや、終わり無き戦いを描いているのだから落とす必要が無い”と意見が分かれているようですが、落ちてますよ、綺麗に。 「トラフィック」 (2000年/スティーブン・ソダーバーグ監督) メキシコとアメリカを結ぶ巨大麻薬シンジケートを巡…

名刺ひとつで大パニック。印刷屋必見。 アメリカン・サイコ

今やガン=カタを武器にゴッサム・シティを守りつつ、人類の未来を切り開く多忙な身になったクリスチャン・ベイルですが、昔はただの人殺しヤッピーでした。 「アメリカン・サイコ」(2000年/メアリー・ハロン監督) 80年代バブル期の「どう見ても仕事し…

葉月里緒奈が・・飛んだ(呆然)。 叫

幽霊の描写に一方ならぬ意欲を燃やす黒沢がまた斬新映像を生んだ・・のですが、ちっとばかし方向を間違えてはいないだろうか。 「叫」(2006年/黒沢清監督) そもそも黒沢監督が幽霊の描写にこだわったのは、小中理論を越えて“怖さ”を追求するためだと思っ…

自己紹介シーンNo.1。 天空の城ラピュタ

『私が継いだ名前はリュシータ。リュシータ・トゥエル・ウル・ラピュタ』 このシーン、何度観ても鳥肌が立ちます。 「天空の城ラピュタ」 (1986年/宮崎駿監督) ふと、ジブリ作品って一回も取り上げてなかったなぁ・・と思ったので、1番好きなタイトルを…

おっとこいつはジャケ買いだ。 フランケンシュタインの逆襲

ジャケット(正確にはアウターケース)のデザインに惚れてふらふらと購入してしまいました。 「フランケンシュタインの逆襲」 (1957年/テレンス・フィッシャー監督) 公開当時の国内版ポスターを再現したものだと思いますが、素晴らしいデザインです(四隅…

タルコフスキーの心象念写。 鏡

ストーリーと呼べるものはありません。 記憶の断片を時間軸にとらわれる事無くコラージュした心象念写が102分。 退屈? とんでもない。 「鏡」(1974年/アンドレイ・タルコフスキー監督) 少年時代の思い出。焼けた納屋。髪を洗う母。軍事教練。失踪した…

お茶目なサイコ親父がクロロホルムで自分探し? 失踪

「娘にとって私はヒーローだ。だが、正義だけではなく、悪にもなれる事を証明しなければ娘の賞賛に値しない」すまんが、その理屈、俺にはさっぱり分からんぞジェフ。「失踪」(1993年/ジョルジュ・シュルイツァー監督)ドライブインで忽然と失踪した彼…

その時、歴史が動いた。 ガメラ 大怪獣空中決戦

比較に意味が無い事は分かっています。分かっていますが、幼生ギャオスを波しぶきを立てながら仁王立ちしたガメラが片手で叩き落とした瞬間、平成ゴジラの不甲斐無さに対する溜飲がゴクリと音を立てて下がったのはまぎれもない事実。「ガメラ 大怪獣空中決戦…

いいのかフリードキン、こんな映画撮って。 BUG/バグ

やばいぞ、フリードキン。これって・・。 「BUG/バグ」(2007年/ウィリアム・フリードキン監督) 出所したDV夫を避けてモーテル住まいをしているアグネス(アシュレイ・ジャッド)の元に謎の青年ピーター(マイケル・シャノン)が。 ちょっと内向的で…

猿も裏返る大悲恋・・をセルフ・リメイク? ザ・フライ

“蝿になる・・蝿になる・・助けてぇ!”誰だよ、このTV-CMのナレーション考えた奴。夜中に不意打ち喰らってビビったじゃないか。という思い出深い(?)名作のセルフ・リメイク計画が進行中とか。「ザ・フライ」(1986年/デビッド・クローネンバーグ監…

不条理なら良いってもんじゃあ・・。 地獄の警備員

うむむ。黒沢初期の傑作という触れ込みだったので期待して観たのですが・・。 「地獄の警備員」(1992年/黒沢清監督) 殺人罪で起訴されたものの心身喪失で無罪となった元力士・富士丸(松重豊)が、とある大手企業の警備員として社会復帰して大暴れ。構図…

月の主食はカップヌードル。 FREEDOM

「メガゾーン23」と「月面開拓史ダロス」を足して「アキラ」で割った後にカップヌードルをぶちまけたSFアニメ。「FREEDOM」(2003年/森田修平監督)まあ、はじめに日清食品ありきのプロモーション企画なので、登場人物がのべつまくなしカッ…

スラムは命のバーゲンセール。 110番街交差点

♪俺は5人兄弟の3番目。 生き残る為には何でもやった。 何をやったかは秘密だぜ。 ただスラムから抜け出したかった。 110番街を横切るのは大仕事。 110番街交差点。死神が餌食を求めている。タラの「ジャッキー・ブラウン」は大好きな映画ですが、こ…

ハリー・ディーン・スタントンの歌が聴けるぞ。 沈黙の断崖

漢字二文字シリーズと並んで、もはやタイトルと内容の紐付け不能な沈黙シリーズの第・・・何弾なんでしょう。 「沈黙の断崖」(1992年/フェリックス・エンリケス・アルカラ監督) 今回のセガール親父の役どころは、環境保護庁の調査員。企業の廃棄物違法投…

嗚呼ジョン・カザール・・。 ディア・ハンター(の音声解説)

中途半端な画質レストアと5.1ch化を施して特典ディスクを付けた2枚組の廉価版が出たので買ってみました。 「ディア・ハンター」(1978年/マイケル・チミノ監督) お目当ては監督の音声解説。 主要な登場人物以外、役者はひとりもいないという事実に唖然。 …

闇鍋だ闇鍋だ! ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行

なんて素晴らしいタイトルなんでしょう。口の中で何度も反芻したくなります。 「ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行」 (1972年/ユージニオ・マーティン監督) 内容もタイトルに負けず劣らず。時は1902年。満州の氷壁で古代人のミイラ発見!(北…

やはり人間だったか森繁・・。 死に花

若い(あるいは中堅の)俳優さんが、病気や事故や自殺で他界する度に「どうして森繁は順番を守らないのだろう?」と(不謹慎にも)思っておりました。この人、ひょっとしたら死なないんじゃないか。いや、既に生体パーツの大部分が機械化していて“メカ森繁”…

やっぱり喰うんだ、犬。 少林寺

“はぁあぁ~・・は!は!は!はは!” やはり、私ら世代にとってこの人はジェット・リーではなく、リー・リンチェイです。 「少林寺」(1982年/チャン・シン・イエン監督) “♪しょーりん、しょーりん”というダークダックス調の牧歌的コーラスに乗って、少林…

救う価値など無い…のか。 ダイアリー・オブ・ザ・デッド

DVD発売当日に店頭で気が変わり、「ゾンビ・ストリッパーズ」を購入してしまったため、鑑賞が遅れに遅れてしまいました。ロメロ先生、御免なさい。 「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」(2007年/ジョージ・A・ロメロ監督) 時間軸が同じだとすれば、「ナ…

相棒は生首。究極のバディ・ムービー。 ガルシアの首

例えば「ゲッタウェイ」のような終り方だって出来たでしょう。 彼女と二人、大金せしめて見知らぬ土地へ・・。 勿論、そんな事にはなりません。なぜなら主役がスティーブ・マックイーンではなく、ウォーレン・オーツだからです。 「ガルシアの首」(1974年/…

フィンチャー痛恨のデビュー作。 エイリアン3[劇場公開版]

世間的な評価はボロボロですが、無視できないSomethingに満ちた怪作です。 「エイリアン3」 (1992年/デヴィッド・フィンチャー監督) まず、前作でリプリーが体張って守ったニュートがあっさり死んでいる(しかも溺死)という設定がショッキング。 おいお…

ありえねー!けど許す。 神様のパズル

何をウリにしていいか分からないのは分かります。 ラブ・コメと呼べる程の恋愛感情は(少なくとも当事者の二人には)ないし(萌えはある)、物理用語がイヤって程飛び交う割りにはSFと呼べる程の重さはありません。 だから、「サイエンス・フィクション・…

また箱庭か。分かってねえなアンダーソン。 デス・レース

どうしてこの人はスケールの大きな話を無理矢理箱庭にねじ込むような映画ばかり作るんでしょ? 「デス・レース」(2008年/ポール・W・S・アンダーソン監督) 「AVP」なんか、IWGPと3冠の統一世界戦をダイエーの駐車場でやってるような息苦しさで…

祝!再現「銀残し」。 幸福

市川崑監督と言えば、黒地にでっかい極太明朝体。しかし、これは中央にポツンと小さく二文字。「幸福」(1981年/市川崑監督)スタッフ、キャスト・クレジットはゴシック系ボールド。もうこのフォントだけで「いつもとは違うシャシンを撮る!」という監…

トップを・・ねらえ? スター・トレック[2009年版]

トレッキーではないので、ツボの突き方の上手い下手はよう分からんのですが、ここまでタメの無さすぎる演出は如何なものかと。「スター・トレック」(2009年/J・J・エイブラムス監督)前作「Mi:掘廚發修Δ任靴燭、この人、兎に角タメがない。めまぐ…

ハングマン耽美編。 許されざる者

クリント・イーストウッドのあれでもバート・ランカスターの古典でもありません。三池・武智コンビによる「荒ぶる魂たち」「烈火」に続く“同じ話”シリーズ第3弾。「許されざる者[獅子の決戦/獅子の鎮魂歌]」(2003年/三池崇史監督)冒頭、“青少年に相応…

な、何ですか、この字幕は?(怒) ロング・グッドバイ

昨日の「あ、スタローン」と対で「あ、シュワルツェネッガー」という見出しにしようと思っていたのですが、あまりの字幕の酷さに方針変更。「ロング・グッドバイ」(1973年/ロバート・アルトマン監督)レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」の映画化(…

あ、スタローン・・。 さらば愛しき女よ

“ハードボイルド”の定義は人それぞれだと思いますが、私は“多くは語らず、客観的行動描写で主人公の内面を表現”する手法だと思っております。その意味でこの作品は「ハードボイルド」ではありません。ありませんが、好きです。 「さらば愛しき女よ」(1975年…