デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

落ちてない? いや、落ちてますよ、綺麗に。 トラフィック

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話が落ちてないいや、終わり無き戦いを描いているのだから落とす必要が無いと意見が分かれているようですが、落ちてますよ、綺麗に。

トラフィック

(2000年/スティーブン・ソダーバーグ監督)


メキシコとアメリカを結ぶ巨大麻薬シンジケートを巡る群像劇。

麻薬撲滅の最高責任者に就任するも家では娘がラリパッパなマイケル・ダグラス

セレブ生活満喫中に、いきなり夫が麻薬王として摘発されて頭真っ白なキャサリン・ゼタ・ジョーンズ

そして、メキシコの“長いものには巻かれろ”的無気力警官ベルシオ・デル・トロ。

三者三様の選択がドラマを転がしていくのですが、各々の決断に良いも悪いもありません。

程よく距離を置いた視点がドキュメンタリーっぽさを強調して、映画的カタルシスを求める観客を頑なに拒絶しています。

しかし、この勧善懲悪とは程遠い索漠さがリアリティと緊張感を生んで、2時間半ダレる事がありません。

マイケル・ダグラスが主役のように見えますが、実質主役はデル・トロです(マイケルのパートは丸々なくても話は通じる・・ってか無い方が良い)。

2大シンジケートの片方に肩入れする将軍に抱きこまれたデル・トロが合衆国に情報を提供する代わりに要求したある見返りが、この映画を見事に〆ています。

他にも、ドン・チードルデニス・クエイド、エイミー・アービング(!)など豪華面子(サルマ・ハエックをチョイ役で使うとは!)。

アカデミー監督賞、脚本賞編集賞助演男優賞(デル・トロ)受賞。デル・トロは納得ですが、脚本と編集は何かの間違いだと思います。