メキシコの天気は汗。午後、所により血糊。
砂埃と銃弾とテキーラと。足りないのは美人だけですが、最早確信犯でしょう。
ニック・ノルティ侠気劇場開幕です。
「ダブルボーダー」(1987年/ウォルター・ヒル監督)
ここはテキサス。国境の町。メキシコから渡ってくる麻薬に眼を光らせるテキサス・レンジャー、ジャック(ニック・ノルティ)。
麻薬王キャッシュ(パワーズ・ブース)はジャックの親友。そしてジャックの女はキャッシュの元カノ。
空港に経歴抹消(記録の上では全員死人)された元軍人がゾクゾクと集結してくるオープニングが素晴らしすぎ。ブロンクスにストリート・キッズが集結する「ウォリアーズ」のオープニングに匹敵するかっちょ良さです。
この独立愚連隊を指揮するのはハケット大佐(マイケル・アイアンサイド)。
テキサス・レンジャー×麻薬王×謎の秘密工作隊。いい顔の三つ巴。
公開当時は、印象の薄い映画だと思いましたが再見して反省。平均年齢が高い上に、大衆迎合した軽薄キャラ(「48時間」におけるエディ・マーフィ)がいないから子供にはとっつき難かっただけです。
ハケットの真意、ジャックの信念、キャッシュの迷走、同じ国を守る者としてジャックに肩入れする特殊工作隊。
クライマックスの“なんちゃってワイルドバンチ”も小振りで謙虚な所がいいじゃないですか。
原案はジョン・ミリアス、音楽がジェリー・ゴールドスミス&ライ・クーダー。
“曲げない”男たちの不器用挽歌です。
※参考:「ワイルド・バンチ」→2008年1月31日