デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

やはり人間だったか森繁・・。 死に花

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若い(あるいは中堅の)俳優さんが、病気や事故や自殺で他界する度に「どうして森繁は順番を守らないのだろう?」と(不謹慎にも)思っておりました。

この人、ひょっとしたら死なないんじゃないか。いや、既に生体パーツの大部分が機械化していて“メカ森繁”になっているのではあるまいか、と怪しんでおりましたが、やはり人間だったようです。

森繁久彌96歳、老衰で永眠。遺作となったのが、

死に花(2004年/犬童一心監督)

舞台は高級老人ホーム。森繁の役どころはここの最年長者・青木六三郎。

彼の白寿のお祝いの席で「百まで生きるって、どういう事なんだろうねえ」と呟いた藤岡琢也も既に故人。

お話は、この老人ホームの仲間たちが17億円の現金強奪に挑むという老人版「黄金の7人」。

劇中でも一足先に他界した藤岡の遺品の中にあった「死に花」と題されたファイル。その中には綿密に計算された銀行襲撃計画が・・。

「撮りたい映画があって金貯めてたんだが、監督も役者も皆死んじまった」と言う元映画プロデューサー菊島(山崎努)が資金を調達。

お仲間は、元銀行員・伊能(宇津井健)、女好きな穴井(青島幸男)、庄司(谷啓)、ひょんなことから仲間になったホームレス先山(長門勇)、菊島の亡き友人の妻・鈴子(松原千恵子)、そしてホームの従業員・和子(星野真理)。

老人の性とかボケとかの問題もきっちり取り込んで、奇想天外なクライマックスへ。

これとか「ジョゼ」の頃の犬童作品は本当に良質だったのですが・・(「メゾン・ド・ヒミコ」辺りからどうも調子が・・やっぱり柴崎コウはサゲマンだ)。

藤岡に続いて青島幸男も他界。次は「渡る世間」で藤岡の跡を継いだ宇津井か、自分をおくる山崎か、と思っておりましたが、大穴(?)森繁がゴールイン。

ご冥福をお祈りいたします。
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2019.09.14追記。
その後、2010年に谷啓、2013年に長門勇、2014年に宇都井健が他界。山崎努以外の男優は全員鬼籍に入ってしまいました。

山崎さん、長生きしてください。