デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

葉月里緒奈が・・飛んだ(呆然)。 叫

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幽霊の描写に一方ならぬ意欲を燃やす黒沢がまた斬新映像を生んだ・・のですが、ちっとばかし方向を間違えてはいないだろうか。

「叫」(2006年/黒沢清監督)

そもそも黒沢監督が幽霊の描写にこだわったのは、小中理論を越えて“怖さ”を追求するためだと思っていたのですが・・。

今回はインパクト勝負と言うか、「スゲー!」とは思いますが「怖えー!」とは・・。

埋立地で発見された真っ赤なワンピースの女の死体。何故か死体の周りには担当刑事・吉岡(役所広司)に関連するものがうーじゃうじゃ。

『俺・・何かやったのか?』

やがて吉岡の元に真っ赤なワンピースの女の幽霊(葉月里緒奈)が。

黒沢版「呪怨」と言えなくもない展開なのですが、論理的に話を落とそうとしている分、説明不足が際立ってしまうのが残念な所ではあります。

伽椰子の場合は、すれ違った人間を老若男女の区別無く地獄へご招待する“悪意の散水車“という設定だったので、動機不要・理屈無縁の不条理霊として理不尽さを発揮すれば良かったのですが。

葉月の初登場シーンは「叫び声(叫び専任声タレがいる)」のアシストもあって、ちっとビビリましたが、スーパーガールになった時は「は?(マジっすか監督?)!」。

最後に見せた「カムイ直伝?」な難易度Dの必殺技にはもう唖然呆然。

葉月の無茶ぶりが絵的に目立っちゃいますが、役所の恋人役・小西真奈美も絶品。菩薩ですね、彼女は。

※参考:「CURE/キュア」→2008年8月21日、2009年6月11日
    「回路」→2008年10月5日