ポスト・モーテム・フォトグラフィー(POST MORTEM PHOTOGRAPHY)。
遺体記念写真。死んだ家族をまるで生きているかのようにおめかしさせて。
以前「エクトプラズム/怨霊の棲む家」のレビューの時にご紹介した「死体とチーズ」です。
写真が残っているという事は、その写真撮影を生業としていたカメラマンもいたと言う事。
そう、遺体写真家が。
「ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス」(2020年/ベルゲンディ・ピーテル監督)
第1次世界大戦終了直後のハンガリー。
戦場で地雷か手榴弾に吹き飛ばされましたが、あの世の一歩手前で引き返してきたドイツ人トーマス。
トランポリンとワイヤーを巧みに使って景気よく人がポンポン弾け飛ぶ爆発風景が良い感じ。
引き上げ後はハンガリーで遺体写真家に。
ポスト・モーテムの流行最盛期はヴィクトリア朝時代(1837~1901)のイギリスだそうです。第一次大戦終了は1918年11月11日なので、ちっとばかしズレておりますが、国も違うしまあ誤差の範囲内でしょう。
見世物小屋やマーケットの集まるテント村の一角で「遺体写真屋」の営業を始めたトーマス。
撮影の様子を覗きに来たひとりの少女。
『死体の写真を撮っているの?』
『見れば分かるだろ』
『死体ならほかにもあるわ』
『どこに?』
『私の村。来る?』
その村はスペイン風邪の大流行で多くの死者を出しましたが、極寒の永久凍土は墓穴を掘ることを許さず、死体は凍った状態で放置されているという。
少女を連れて来ていた村人が死んだ家族との撮影を希望したこともあり、トーマスは少女らとともにその村へ。
ひとつずつ運び出された遺体に死化粧を施し、専用の危惧を使って固定し、遺族と共に。
しかし、出来上がった写真には…。
その村はスペイン風邪にではなく、紛う無き悪霊に乗っ取られていました。
特殊職業の時代劇(ヨーロッパ版「化粧師」みたいな)かと思っていたら、ここから写真家と少女の「幽霊の正体暴き」なホラーミステリーに。
ピンホールカメラや蓄音機といった当時としては最先端の技術を駆使して幽霊の正体に迫ります。
謎解き部分が超テキトー(何故、ホラーの解呪や除霊の方法って当事者の勝手な理屈で進んでいくんでしょうねえ。邦画でも死体を見つけて供養すれば呪いは解ける、とか何の根拠もなくやって、結局「はいハズレ!」になること多いですよね)なのが気になりますが、「第一次世界大戦直後、疫病蔓延ハンガリーの遺体写真家」というネタは実に魅力的でした。
終盤のポルターガイストな騒乱👆も大規模でいい感じでしたし。
追悼:佐藤蛾次郎
佐藤蛾次郎氏がお亡くなりになりました。
発見12月10日。世田谷の自宅(の風呂場)にて。78歳。
隠し味的使われ方が多い人でしたが、1本選ぶなら迷わずこれ。
謹んで哀悼を。
嗚呼!水木一郎アニキまで(泣)。こちらの追悼は別途。
★本日のTV放送【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】
※しまった!12月10日の「ベルトの日」とネタが被った!