とある事件がきっかけで酒と薬に溺れ、ボストン市警を辞める事になったメーガン(シェイ・ミッチェル)。
AA(アルコール依存症の自助グループ)仲間の伝手で得た再就職先はボストン・メトロ・ホスピタル…の死体安置所…の夜間勤務。
運ばれてきた変死体を受け取り、写真を撮り、指紋を採り、データベースに照合し、問題なければ安置ロッカーへ。
これをワンオペで処理。いるのは自分と死体だけ。
ある夜運ばれてきたのは惨殺された少女。
喉やら腰やら掻っ捌かれた挙句、燃やされようとしていたようで腕には重度の火傷が。
写真を撮ろうとしたら機器不調。指紋照合は読み込みエラー。
何なのこの子。ボストン市警の元カレに調べてもらったところ…
彼女はハンナ・グレース。3か月前、悪魔祓いに失敗して死亡しておりました。
「エンドレス・エクソシズム」(2018年/ディーデリク・ヴァン・ローイェン監督)
依存症の元警官と悪魔憑き少女。出会いはモルグ。
舞台設定はなかなか興味深いのですが、踏み込みが浅すぎ。
メーガンのトラウマもハンナの悪魔憑きもまあ、そういう事がありました的記号でしかあません。
大体、エクソシズム失敗して(ハンナの死亡が確認されて)から3ヶ月、何やってたんだよ?という素朴な疑問。
安置ロッカーを出たり入ったりするハンナの行動は完全にコント。這い出たと思ったらまたもとに戻っていたりで「何それイリュージョン?」
お話の建て付けも、オカルトホラーにしたいのか、アルコール依存による幻覚を匂わせた心理サスペンスにしたいのか。
悪魔さんの蛮行も何かテキトーに暴れているだけで何がしたいのかさっぱり(特に優先順位とかないんだったら真っ先にメーガン殺すだろ)。
本作、2018年公開ですがクランクアップしたのは2016年(つまり本来なら「ジェーン・ドウの解剖」と同い年公開)。
何でもスタジオのマネジメントが変わって新しい製作責任者があれこれ変更を求めてきたため、ポストプロに2年も掛かってしまったんだとか(映像素材だけはあったため、再撮影にならなかったのが不幸中の幸い)。
あー、あの取ってつけたような前向きなオチ(終わってみれば、オカルトでもホラーでもなく、強い女のトラウマ克服ストーリーに)はそういう路線変更があったせいなのね。
そういうものを求めていたわけではないので、景気の良い肩透かしではありました。
おまけ
メーガンが就職したボストン・メトロ・ホスピタルの撮影場所はボストン・シティ・ホール。
2020年に公開された272分に及ぶドキュメンタリー「ボストン市庁舎」の舞台です。
行政サービスの記録映画のみならず悪魔映画のロケにも協力するとは太っ腹ですマーティン・ウォルシュ市長(当時)。
★ご参考:「ラ・ヨローナ」をご紹介した時に「悪魔祓い選手権」を開催しておりますが、今回はあの時の選から漏れた「肩透かし悪魔祓い選手権」を。
★本日1月22日は本家本元リーガン・マクニールことリンダ・ブレア(1959~)の誕生日(おめでとうございます!)…ですが、彼女の誕生日は昨年お祝いしたので今年は別のお方を。
という訳で本日はダイアン・レイン(1965~)の誕生日(おめでとうございます!)
作品はこちらで。