馬鹿映画と割りきって観ても、これだけアラまみれだとどこから突っ込んで良いやら。
過去のそれらしい絵柄を寄せ集めて大風呂敷で包んだハリボテ映画です。
「レギオン」(2010年/スコット・スチユアート監督)
お話は壮大。
人類を見限った神が人類殲滅の尖兵としてガブリエル率いる天使軍団“レギオン”を遣わすが、人間に一縷の希望を託した大天使ミカエルが神に背いて人間に加担、ここに天使対天使の壮大なバトルが・・・。
どうですか、お客さん、実にスケールのデカイお話じゃありませんか。
でもね。
地球規模の戦いのはずなのに、舞台はモハベ砂漠にポツンと佇むダイナー(つまりバグダッド・カフェ)。四畳半SFです。
何故ここなのかと言うと、このダイナーのウェイトレスが誰かとヤッて出来ちゃったお腹の赤ちゃんが人類の救世主になるから。
でもこの女、どう見てもただのビッチ。父親が誰かも明かされず仕舞。
ダイナーを取り囲む天使軍団レギオンはただのゾンビ(何故?)。
『前回は洪水、今回はこれだ』っておいおい、随分スケールが小さくなったな。
神の動機も今ひとつ曖昧。“全てに呆れたんでしょ”という台詞はありますが、救世主が生まれるんなら、やり直させてやりゃいいじゃないですか。
雲だと思ったら蝿の大群だったとか、足の悪い老婆が突如天井を這い回る「エクソシスト3」な描写とかはなかなかでしたが、お話が支離滅裂過ぎ。
「ターミネーター」と「ゴッド・アーミー」と「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を足して「バグダッド・カフェ」と「トレマーズ」で割った感じ(想像不能だな)。
ひとつ心に残ったのは、ダイナーの料理人の黒人の台詞。
『子供の頃、寝る前に親父が言っていた。もし、明日の朝、目覚めなかったら今日が人生の最後の日だ。誇れるか、これまでの人生を。もし、誇れなかったら、生き方を改めろ』
はい、改め・・・られねえよ、もう。
※参考:「ゴッド・アーミー」→2009年4月10日、11日
「バグダッド・カフェ」→2009年10月26日