この映画、何故か世間では駄目駄目の烙印を押されていますが、馬鹿言っちゃいけません。闇鍋オカルト・スリラーの傑作ですよ。
「センチネル」(1977年/マイケル・ウィナー監督)
古びたアパートで永きに渡って地獄の門番(センチネル)をしてきた神父(と教団)に後継者指名された女の恐怖。
身も蓋も無い言い方をすれば「ローズマリーの赤ちゃん」のバッタ物なのですが、上品・下品の振れ幅が無駄に大きい所は流石マイケル“デス・ウィッシュ”ウィナーです。
クライマックスのあの描写(地獄の亡者に特殊メイクする金も時間も無かったので、メイク不要の人たちを大量に雇った)ばかりが喧伝されていますが、「フリークス」のDVDが雑誌の付録になる今となっては可愛いものです。
むしろ、アパートの住人(精神障害っぽい若い女と熟女のレズ・カップル)の描写の方が、遥かに怖かったですね(写真下。地上波放送不可能)。
主演はクリスティナ・レインズ。演技はそこそこですが、気を失う時の倒れ方にためらいがなくて素敵。
で、その周りを囲む人々が、よくもまあここまで“一度観たら忘れなれない顔”系を集めたもんだ、と感心しきりの豪華面子。それも脇・端役に至るまで。
ホセ・ファーラー、エヴァ・ガードナー、バージェス・メレディス、ジョン・キャラダイン(写真上)、イーライ・ウォラック、マーティン・バルサム。
何とチョイ役で、ジェフ・ゴールドブラム、クリストファー・ウォーケン、トム・ベレンジャー・・・。どうですか、お客さん。蝿男に悪の天使にバーンズ軍曹ですよ。
今回、発売されたDVD(国内初ソフト化!通販限定)には、豪儀な事に「US-TVバージンをベースに再編集したテレビ放送版(当然日本語吹き替え)」を丸ごと収録。
画質は退色まっしぐらなウルトラ・セピアですが、再撮・差し替えシーンを見ると、この映画の本質的な問題が分かって興味深いですね。
本作や「夢魔」「悪魔のワルツ」「炎のいけにえ」のような日陰のオカルト/ジャーロってどこか捨てがたい魅力があります。
※参考:「レディ・イポリタの恋人/夢魔」→2008年8月26日
「悪魔のワルツ」→2008年5月8日
「炎のいけにえ」→2008年12月16日
「英国では30年間上映禁止。フリークス/怪物團」
→2009年1月13日
「ゴッド・アーミー/悪の天使」→2009年4月10日/11日